管理人のイエイリです。
英国・ロンドンで10月31日から開催されているイベント、「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー2016(The Year in Infrastructure 2016)」では、航空機などから撮影した写真をもとに3Dモデルを作る「リアリティー・モデリング」が、大きなトピックスになっています。
11月1日は、様々な部門に分かれて3D技術を活用したプロジェクトを競う「BE Inspiredアワード」の決勝に残ったファイナリストたちが、最終プレゼンテーションを行います。
プレゼンに先立って行われたのは、ファイナリストたちに直接、会って説明を聞くことができるセッションです。
この会場の39番テーブルで、次から次へと押し寄せる報道関係者にテキパキと説明している日本人を発見しました。
その人は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
大林組の池田雄一さん
だったのです。
大林組は早稲田大学の嘉納研究室とともに、BIMモデルと写真計測による点群データを使って、工事の進ちょく状況を自動的に把握するシステムを開発しました。(2016年9月30日の当ブログ記事を参照)
2つの時期に分けて現場を撮影した写真で作った3Dモデルから「差分」をとり、BIMモデルと比較することにより、その期間にどの部分の部材が現場に設置されたのかを把握する仕組みです。
一方、早大・大林ペアのライバルとなるチームも負けてはいません。その1つは、CH2M社とフェアハースト社(Fairhurst)のJVで、英国の高速道路A9号線の複線化プロジェクトで勝負にきました。
数多くの航空写真を「ContextCapture」というソフトで処理して作った高精細な地形の3Dモデル上に、複数の設計案を作って検討したものです。美しい3Dモデルの出来に圧倒されました。
もう一つのライバルはフィンランドのヘルシンキ市です。
同市の面積は約400km2ありますが、約1000m上空から5方向で撮った約5万枚の航空写真をもとに、「ContextCapture」で高精細な「3Dシティーインフォメーションモデル」を作りました。
写真のデータは約11TBにものぼったそうです。この写真をもとに、同市を250m角ごとに3Dモデル化し、合体させました。
1人の担当者が
ナ、ナ、ナ、ナント、
わずか2カ月半
でモデル化したそうです。
ヘルシンキ市の3Dシティーインフォメーションモデル プロジェクトマネジャーのジャルモ・スオミスト(Jarmo Suomisto)さんは「シンガポールで作っている『バーチャルシンガポール』は手作業だが、わが市では作業の70%を自動化したため、約8万軒の建物をこの短期間でモデル化することができた」と胸を張ります。
(バーチャルシンガポールについては、当ブログ2016年1月29日の記事または2016年2月24日の記事を参照のこと)
この日の午後、3つのチームは30分ずつの最終プレゼンテーションに臨みました。結果は翌11月2日の表彰式で発表されます。強豪チームが相手ですが、早大・大林ペアの検討をお祈りします!