管理人のイエイリです。
東京スカイツリーの工事では、タワーの上に設置されたクレーンが注目を集めました。建物や構造物を造るのに欠かせないクレーンですが、様々な形や大きさの荷物を安定して吊り上げられるようにするため、地上で裏方さんとして働いているのが「玉掛け作業主任者」です。
荷物を安全に吊り上げられるようにするために適切なワイヤや吊り具を選び、吊り荷を並べたり吊り具を取り付けたりし、クレーンのフックに吊り具をかけるまでの重要な仕事を担っています。その仕事では、吊り具に関する複雑な計算も欠かせません。
そこで建築・土木の現場や各種工場で使う吊り具メーカーの大洋製器工業(本社:大阪市西区)は、玉掛け専用の多点吊り計算アプリ「D.C.吊る~ん」を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
Androidスマートフォン
で2点吊り、3点吊り、4点吊りの吊り具1本あたりにかかる荷重や必要な長さ、吊り角度を計算できるのです。
玉掛け専用 多点吊り計算アプリ「D.C.吊る~ん」の画面イメージ(写真・資料:大洋製器工業) |
吊り具を2~4個使う玉掛け作業では、吊り具1本当たりにかかる荷重計算などが複雑で、計算を誤れば重大事故につながる可能性もあります。
このアプリでは既に分かっている吊り具の長さや吊り点の間隔などをいくつか入力するだけで、吊り具1本あたりにかかる荷重や必要な長さ、吊り角度などが自動的に計算されるので玉掛け作業の安全性が高まります。
Android版の公開は7月5日です。また、iPhone版も今年の秋に公開予定となっています。
同社では6月11日にWEB版の玉掛け専用 「多点吊り計算」を公開済みです。試しに使ってみたところ、数個のデータを入力するだけで吊り具の角度や高さなどの複雑な計算が瞬時に行えるので便利でした。
よりWEB版玉掛け専用 「多点吊り計算」の計算結果 |
同社のウェブサイトではこのほか、吊り具関連の「用語集」を公開したほか、吊り具の3次元CADデータのダウンロードコーナーも設けています。
まさに
玉掛けソリューションの殿堂
といった感じのサイトです。
大洋製器工業のウェブサイト。「玉掛けソリューション」が充実している |
ただ3次元CADデータの形式は、STEP(.stp)、SolidWorks(.x_t)、Inventor(.ipt)と、機械系CADのものばかりです。
ここはぜひ、建設業界で使われているBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や土木用3次元CADに対応した形式も増やしてもらいたいですね。