コア抜きやブラスト除染も!三菱重工の“器用なロボ”が福島第一原発で活躍中
2014年2月21日

管理人のイエイリです。

東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所では、放射線と戦いながら様々な作業が行われています。

この現場の作業を支援するため、三菱重工業は遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」(MHIマイスター)を投入しました。

ロボットアームを2本備えたこのロボの特徴は、器用に様々な作業をこなせることです。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

コンクリートのコア抜き

 

といった作業も行えるのです。

2本のロボットアームを使ってコンクリートのコア抜きを行うロボ(写真:三菱重工業。以下同じ)

2本のロボットアームを使ってコンクリートのコア抜きを行うロボ(写真:三菱重工業。以下同じ)

2本のロボットアームは、それぞれ7つの関節(7自由度)を持ち、片方で物をつかみながら他方で切断したり、それぞれ異なるツールを装着して2種類の作業を同時に行ったりすることが可能です。

ツールには専用のドリルやはさみ爪などがあり、これらを駆使して原子力プラント内でのコンクリートの穴開け、手すりや配管の切断、障害物の除去、除染や補修といった様々な作業をこなせます。

福島第一原発の1号機では、コンクリート壁や床から深さ70mm程度のサンプルコアの採取や、研磨材を吹き付けて放射能汚染物質を薄く削る取るショットブラストによる除染作業の実証を行いました。さらに2号機でもコンクリートのコア抜きを予定しています。

足回りには対地自動追従式の独立4クローラーを備え時速2kmで走行します。傾斜は40°、段差220mまでの階段昇降や不整地走行、狭い場所での走行など、小回りと機動力を発揮できます。

福島第一原発1号機での吸引除染作業中の様子

福島第一原発1号機での吸引除染作業中の様子

スロープ走行試験の様子。40°の傾斜も大丈夫

スロープ走行試験の様子。40°の傾斜も大丈夫

●MHIマイスターの主な仕様

寸 法(外形)

長さ:1,250mm、幅:700mm、高さ:1,300mm

質    量

440kg

移 動 方 式

対地自動追従式独立4クローラー式

移 動 速 度

2km/時

走 行 性 能

傾斜40度、段差220mmまでの階段昇降、不整地走行、狭い場所の走行

通    信

無線・有線の選択 (無線時はバッテリーで2時間稼働)

ロボットアーム

7軸アームを2本搭載 1本あたりの可搬質量15kg

MHIマイスターは、1999年に発生した茨城県東海村の核燃料加工施設の臨界事故をきっかけに開発し、その後、原子力施設でのメンテナンス技術を盛り込んで改良したものです。

耐放射線性能や遠隔操縦性も大きく向上させたため、

 

高放射線域での作業

 

にも対応できるようになりました。

これまでの遠隔操縦ロボはカメラやセンサーなどによる点検や監視などの情報収集が主な役割でした。
その点、MHIマイスターは器用さを生かして物を切ったり、動かしたりといった様々な実作業をこなすところが優れています。今後のますますの活躍が期待できそうですね。

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