生コンクリート工事をIoT化!大成建設が「T-CIM/Concrete」を開発
2016年11月24日

管理人のイエイリです。

これまでの現場打ちコンクリート工事の施工管理は、生コンクリートに関する情報を生コン工場では出荷伝票に、現場では野帳にそれぞれ記入していました。

そのため、現場関係者間でリアルタイムな情報共有が行えないという課題がありました。

そこで大成建設は、生コン情報を電子化し、ウェブサーバーで共有できる「T-CIM/Concrete」というシステムを開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

生コン工場での練り混ぜ

 

開始から、現場での打設完了までを、現場関係者がリアルタイムに共有できるのです。

T-CIM/Concreteの概念図(以下の資料:大成建設)

T-CIM/Concreteの概念図(以下の資料:大成建設)

生コン工場では出荷時に、現場では受け入れ時や打設完了時に、それぞれの情報を入力すると、これらの情報はウェブサーバーに集約されます。

この情報を工事関係者がタブレット端末やスマートフォンで見ることによって、それぞれの生コンが出荷、運搬、受け入れ、打設のどの段階にあるのかがリアルタイムに分かるのです。

生コン工場や現場でデータを入力する画面

生コン工場や現場でデータを入力する画面

どの生コン車が打設待ちなのかもすぐに分かる

どの生コン車が打設待ちなのかもすぐに分かる

現場打ちコンクリートの施工管理で、「時間」は構造物の品質を左右する重要な要素です。

例えば、暑い時期に打設する「暑中コンクリート」は、打設中に生コンが硬化しないように練り混ぜを開始してから現場で打設するまでの時間が通常より短く設定されています。

また、コンクリートを数回に分けて打設する場合は、「コールドジョイント」ができないように、下のコンクリートを打設してから、上のコンクリートを打設するまでの時間間隔が決められています。

このシステムがあれば、打設現場に先に通さないといけない生コン車、早く打ち重ねる場所などを現場全員が分かるので、品質管理をスムーズに行えそうですね。

システムに入力された打設情報や品質管理情報は、ウェブサーバー上で一元管理され、後から追跡できるため、品質保証の信頼性が増します。

つまり、コンクリートの製造から打設までの生コンを電子情報に置き換え、運搬や打設をコンピューターやインターネットで検討し、現場での施工にフィードバックするという点で、

 

生コン工事のIoT化

 

を実現したシステムと言えそうです。(IoTとは「モノのインターネット(Internet of Things)」のこと)

従来はコンクリート打設後に作成していた打設管理帳票や品質試験管理図などは、システムから自動出力できるので、工事担当者は楽になり、生産性も向上します。

「T-CIM/Concrete」で自動作成された打設管理帳票や管理図

「T-CIM/Concrete」で自動作成された打設管理帳票や管理図

さらに、コンクリート躯体の3Dモデルに、これらの情報を「属性情報」としてひも付けることにより、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)による維持管理にも活用できます。

CIMモデルによる維持管理の概念図

CIMモデルによる維持管理の概念図

大成建設が開発する「T-CIM」シリーズのシステムは、ダムやトンネルなどの構造物ごとに「専門工種」と、どの工事でも使われるコンクリート工などの「共通工種」からなる独自のCIMシステムです。

「T-CIM」シリーズの体系図

「T-CIM」シリーズの体系図

今回、全工種にまたがる現場打ちコンクリートのT-CIMができたことで、大成建設のCIMへの取り組みはさらに拍車がかかりそうですね。

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