管理人のイエイリです。
ドローンを使った地表面の3Dモデル化や土量計算では、空撮した写真からカメラの位置を求めるため、地上に「標定点」をいくつも設置し、その座標をトータルステーションなどで測量する必要があります。
現場の規模が大きくなると、ドローン空撮に先立つこの作業には、かなりの手間ひまがかかります。
そこでトプコンは、標定点を設置せずにドローン測量が行える写真測量システム「TSトラッキングUAS」をこのほど発売しました。
標定点の代わりになるのは、地上に設置した自動追尾式のトータルステーションです。飛行中、ドローンの撮影位置を
ナ、ナ、ナ、ナント、
プリズム付きカメラ
によって、カメラの位置を高精度で計測することができるのです。
カメラの位置を計測する手段としてはこのほか、ドローンに衛星測量システム「RTK-GNSS」のアンテナを搭載する方法もあります。しかし、機体が揺れるとGNSSアンテナとカメラ位置がずれてしまい、正確な位置を求めることができません。
カメラにプリズムをじか付けしたところに、トプコンのこだわりを感じますね。
トプコンは120点を使ってトータルステーションによる測量と、標定点なしのドローン測量の結果を比較したところ、標定点なしでも全点が±5cmの範囲に収まったそうです。
標定点が不要になったことで、これまで人が立ち入れなかった大規模な斜面崩壊現場も、高精度で計測できるようになりました。
そして、標定点の設置や測量が不要になったことで、通常の土工現場の測量も、ぐっとスピーディーになります。
例えば、縦200m×横1000mの現場を、従来のドローン測量は、標定点を33個設置するのに330分、計測作業に66分の計390分のほか、検証点6カ所の設置・計測に計72分の合計468分が必要でした。
それが、TS追尾式ドローンの場合は検証点分の72分だけで済むので、6.5分の1の時間になります。
つまり、ドローン空撮に先立つ作業については、
生産性が6.5倍
にもなるのです。
ドローン測量も、初期コストを数十万円台に抑えたシステムや、樹木の下まで計測できるレーザースキャナーを使ったシステム、そして今回のように生産性の高いシステムなど、さまざまな選択肢が出てきました。
自社の業務の内容や今後の戦略を考えて、最適なものを選べる時代になってきましたね。