標定点不要で生産性6.5倍!トプコンがTS追尾式ドローンを発売
2017年9月12日

管理人のイエイリです。

ドローンを使った地表面の3Dモデル化や土量計算では、空撮した写真からカメラの位置を求めるため、地上に「標定点」をいくつも設置し、その座標をトータルステーションなどで測量する必要があります。

現場の規模が大きくなると、ドローン空撮に先立つこの作業には、かなりの手間ひまがかかります。

そこでトプコンは、標定点を設置せずにドローン測量が行える写真測量システム「TSトラッキングUAS」をこのほど発売しました。

標定点なしでドローン測量が行える写真測量システム「TSトラッキングUAS」(以下の写真、資料:トプコン)

標定点なしでドローン測量が行える写真測量システム「TSトラッキングUAS」(以下の写真、資料:トプコン)

標定点の代わりになるのは、地上に設置した自動追尾式のトータルステーションです。飛行中、ドローンの撮影位置を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

プリズム付きカメラ

 

によって、カメラの位置を高精度で計測することができるのです。

カメラの取り付けられたプリズム

カメラの取り付けられたプリズム

ドローン計測で作成した点群データ

ドローン計測で作成した点群データ

カメラの位置を計測する手段としてはこのほか、ドローンに衛星測量システム「RTK-GNSS」のアンテナを搭載する方法もあります。しかし、機体が揺れるとGNSSアンテナとカメラ位置がずれてしまい、正確な位置を求めることができません。

カメラにプリズムをじか付けしたところに、トプコンのこだわりを感じますね。

GNSSのアンテナでカメラ位置を計測する方法は機体の揺れに弱い

GNSSのアンテナでカメラ位置を計測する方法は機体の揺れに弱い

トプコンは120点を使ってトータルステーションによる測量と、標定点なしのドローン測量の結果を比較したところ、標定点なしでも全点が±5cmの範囲に収まったそうです。

標定点が不要になったことで、これまで人が立ち入れなかった大規模な斜面崩壊現場も、高精度で計測できるようになりました。

斜面崩壊現場も標定点なしで高精度に計測

斜面崩壊現場も標定点なしで高精度に計測

そして、標定点の設置や測量が不要になったことで、通常の土工現場の測量も、ぐっとスピーディーになります。

例えば、縦200m×横1000mの現場を、従来のドローン測量は、標定点を33個設置するのに330分、計測作業に66分の計390分のほか、検証点6カ所の設置・計測に計72分の合計468分が必要でした。

それが、TS追尾式ドローンの場合は検証点分の72分だけで済むので、6.5分の1の時間になります。

つまり、ドローン空撮に先立つ作業については、

 

生産性が6.5倍

 

にもなるのです。

空撮前の標定点、検証点の設置・測量作業の生産性は、従来のドローン測量(左)に比べて6.5倍になった

空撮前の標定点、検証点の設置・測量作業の生産性は、従来のドローン測量(左)に比べて6.5倍になった

ドローン測量も、初期コストを数十万円台に抑えたシステムや、樹木の下まで計測できるレーザースキャナーを使ったシステム、そして今回のように生産性の高いシステムなど、さまざまな選択肢が出てきました。

自社の業務の内容や今後の戦略を考えて、最適なものを選べる時代になってきましたね。

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