管理人のイエイリです。
冬のドライブで気をつけなければいけないのは、路面の凍結によるスリップ事故です。
道路管理者も冬季は路面に凍結防止剤をまいていますが、むやみにまくと凍結防止剤がムダになるだけでなく、路面や周辺のコンクリート構造物などに塩害の被害を生じさせてしまいます。
そこで気象予報会社のウェザーニューズは、東日本高速道路(NEXCO東日本)北海道支社と協力し、高速道路の路面温度を
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローン搭載の赤外線カメラ
で観測することを、日本で初めて実施したのです。(ウェザーニューズのプレスリリースはこちら)
上の図は、ドローンに搭載した赤外線サーモグラフィー・カメラで撮影した高速道路の路面温度です。黄色ほど高温、紫色ほど低温であることを示しますが、鋼床版橋の部分は隣接する盛り土や鉄筋コンクリート橋の部分に比べて、くっきりと紫色(低温)であることがわかります。
ドローンによる温度観測は、2017年10月25日~26日に、道央自動車道岩見沢IC付近の栗沢にある幌向川にかかる高架橋周辺で実施されました。
ウェザーニューズは、既設の観測機器を含む約300mの区間を選定し、朝晩(25日16〜20時、26日5〜9時)に30分間隔で観測しました。
道路の橋桁部分にはよく「凍結注意」という標識が立っていますが、赤外線サーモグラフィー・カメラによる観測でも夜間の放射冷却による傾向が現れていました。
特に鋼床版部分は鉄筋コンクリート橋よりも
「熱しやすく冷めやすい」
性質がはっきりと現れ、顕著な温度低下が見られました。
ドローンに搭載した赤外線カメラで撮影した動画(赤外線動画を再生するにはvideoタグをサポートしたブラウザが必要です)
ウェザーニューズはこれまで、ドローンを上空の気象観測に使ってきた実績はありますが、路面状況の観測に活用したのは今回が初めてとのことです。今後、北海道内で路面温度が低下しやすいエリアを中心に観測範囲を広げていく予定です。
赤外線映像によって道路の位置や構造別に、時間ごとの温度分布が明らかになると、凍結防止剤をさらに精密にまけるようになるため、融雪コストを下げるとともに、構造物の塩害も最小限にとどめることができそうですね。
また、温度データに応じて自動的に凍結防止剤をまく量を調整できるフィードバックシステムができれば、“凍結対策のIoT化”が実現しそうです。