管理人のイエイリです。
今からちょうど1年前の2017年5月10日、当ブログではITソリューションプロバイダーの日本システムウエア(以下、NSW)が、タブレット端末をコンクリート構造物にかざすだけでひび割れをリアルタイムに表示する「Crack Mapping System」を発売したという記事を掲載しました。
このシステムはその後も進化を続け、2018年5月8には「CrackVision(クラックビジョン)」として提供が開始されました。
進化のポイントは、AI(人工知能)のディープラーニング機能と連携して、ひび割れの長さや幅を
ナ、ナ、ナ、ナント、
95%以上の精度で検出
し、マーキング処理を行えるようになったことなのです。
「CrackVision」の処理は、手元のパソコンで行う「エッジデバイス処理」(処理1)と、そのデータをクラウドサーバーで処理する「クラウド処理」(処理2)の2段階に分かれます。
処理1では、ひび割れをスピーディーに検出することに重きが置かれており、ひび割れを疑似的に表示する「バーチャルチョーキング」やひび割れ長さの高速判定などを行い、4k画像も1秒未満で処理します。
続いてクラウドで行う処理2では、ひび割れの詳細な把握と記録に重点が置かれており、ひび割れ幅や長さの水底やひび割れ検出箇所をなぞる「マーキング出力」、そしてひび割れの座標や幅などをCSV形式で出力するレポート機能があります。
このように、処理を2段階に分けたのは、「エッジデバイス処理」の部分を名刺大の組み込みシステムとして
ドローンに搭載
し、飛行しながらひび割れの有無をリアルタイムに判定させるためなのです。
ドローンで橋梁などを点検する際、死角や光の反射などによってひび割れがうまく撮影できない場合もあります。
そんなとき、ひび割れをシステムに認識できたかどうかがリアルタイムにわかると、ドローンの飛行ルートをその場で変更し、撮影もれを防げるというわけです。後で撮影のし直しに出掛けるという二度手間がなくなり、生産性は大幅にカイゼンされそうですね。
NSWでは今後、AIエンジンをドローンに搭載し、飛行中にリアルタイムにひび割れを判定したり、コンクリート以外のひび割れに対応したりできるように、開発を進めていく方針です。
なお、このシステムは2018年5月9日~11日、東京ビッグサイトで開催される「組込みシステム開発技術展(ESEC)」(ブース番号:西18-1)で展示されますので、ご興味のある方はどうぞ。
コンクリート構造物のひび割れを把握し、記録するという地道な作業は今、コンピューターやAIによって自動化され、IoT(モノのインターネット)へと進化しつつあります。今回のシステムは、現場→データ化の部分を大幅に自動化するものと言えるでしょう。