管理人のイエイリです。
3Dプリンターで住宅など、実物の構造物を造る取り組みは世界的に行われていますが、日本でも最近、大手建設会社を中心に研究開発が進んでいます。
大成建設はこのほど、同社が開発した建設用3Dプリンター「T-3DP (Taisei-3D Printing)」を使って
ナ、ナ、ナ、ナント、
国内初の人道橋
を製作したのです。(大成建設のプレスリリースはこちら)
今回製作した橋の大きさは、幅1.2m×高さ1.0m×長さ6.0mの大きさで合計44個の部材で構成されています。1つの部材を製作するのは約2時間で、高精度に自動製作することができます。
一般の桁橋は、桁全体がほとんど同じ断面形状になっているものが多いですが、T-3DPは型枠なしで自由自在な断面を造形できるため、あまり強度に関係しない部分は大胆に「肉抜き」され、通常の設計に比べて重量は4分の1程度に軽量化されています。
全体の強度を保ちながら軽量化を図るため「トポロジー最適化」という手法が導入されました。
3Dプリンターを施工に使う場合の弱点としては、造形中に鉄筋を入れることが難しいので、橋のような構造部材はあまり作られていません。
そこで大成建設は、橋桁部材を造形中に穴を開けておき、そこに
PCケーブルを挿入
し、緊張することで一体化させることで歩行者荷重に耐えられるようにしたのです。
その効果を検証するため、同社は橋桁の中央上面に想定歩行者荷重の約3倍に当たる1tの荷重を作用させて曲げ試験を行い、構造体として十分な強度があることを確認しました。
挙動は弾性的で、ひび割れの発生や荷重を取り除いた後の残留変形もなかったそうです。
大成建設では今後もT-3DPで製作した構造体の力学特性や施工方法のノウハウを蓄積して、柱や梁などの構造部材への適用を目指して、さらに研究開発を進めていくそうです。
3Dプリンターで製作した部材が建物や橋の一部として使われる日が、刻々と迫っているようですね。