管理人のイエイリです。
建物の完成後、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルに様々なリアルタイム情報を連携させて、維持管理を効率化、高度化する取り組みが始まっています。
その究極の取り組みが、東京・羽田空港に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(略称:HICity)で行われています。
この施設は京浜急行や東京モノレールの天空橋駅に直結し、延べ床面積約13万1000m2もの規模で、鹿島建設と大和ハウス工業が設計・施工を担当し、両社を含む9社からなる「羽田みらい開発」が2020年7月に“まち開き”を行いました。
HICityのコンセプトビデオ(動画:YouTubeより)
そして東京都大田区などとの官民連携のもと、「先端」と「文化」をコア産業とするスマートシティーをつくることを目的に三つの方策を進めています。
その一つが「空間情報データ連携基盤」の構築で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMにまちのデータ
をリアルタイムに統合し、バスの自動運転や荷物の自動配達、観光案内など生かそうというのです。(羽田みらい開発のプレスリリースはこちら)
つまり、現実空間とサイバー空間を連携した「デジタルツイン(デジタルの双子)」によってまち全体を制御しようというのです。
施設内に約400個のビーコンやセンサーを設置して、人やロボットの位置情報などを取得し、鹿島がBIMなどを使って開発した「3D K-Field」を使ってこれらの動きを見える化します。
また、施設内のトイレを有効利用するため、センサーを利用して空室情報を収集、デジタルサイネージ(電子掲示板)やスマートフォンに配信します。試しにこのリンク(https://throneservice.com/hi-city)をクリックしてみてください。リアルなトイレの空室状況がわかりますよ。
二つ目の方策は、羽田みらい開発と東京都大田区などが官民連携して「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議会」を組織して、このまちを実験フィールドとし提供。様々な先進的技術の実証や実装、産業交流の機会創出などを行います。
そして三つ目は大田区が直面する交通、生産性向上、観光、健康という四つの大きな課題に対して、それぞれスマートモビリティー、スマートロボティクス、スマートツーリズム、スマートヘルスケアという手法を導入。早期のサービス実現を目指します。
例えば、スマートモビリティーとしては運転手不足に対応するため、構内を循環する自律走行バスを走らせます。使用する車両は警察庁から特別装置自動車として認められた「NAVYA ARMA」(定員:11人)です。
上記の「3D K-Field」、トイレの空室情報、自律走行バスは、2020年9月18日から稼働を開始します。
このHICityの取り組みは2019年5月に、国土交通省の「スマートシティモデル事業」で、
先行モデルプロジェクト
で「先行モデルプロジェクト」の一つとして選ばれ、国からも重点的な支援を受けています。
その後押しもあり、9月18日から様々なロボットや自律走行の電動カート、遠隔監視システムなどの実証実験が展開されます。
今週末(2020年9月18日~20日)にはこのほか、20種類以上のユニークなロボットの展示や実演、試乗などが行われる一大イベントの様相となります。
BIMと連携したスマートシティーはいったい、どんなものなのかを体験してみたい方は、この週末、羽田空港のHICityにどうぞ!