管理人のイエイリです。
日本全国には2m以上の橋梁が約70万橋あり、道路法施行規則により5年に1度の点検が義務づけられています。
これらの橋のうち、地方公共団体が管理するものは約90%もあるので、専門家やマンパワーが不足する地方公共団体ではどう点検を行っていくのかが大きな課題となっています。
そこで大手建設コンサルタントの日本工営と、大型構造物の専門コンサルタント、TTES(本社:東京都目黒区)は業務提携し、橋梁点検の簡素化・効率化のニーズに応える橋梁点検診断サービスの共同開発に乗り出しました。
その中核となるのは、現場でのたわみ計測を
ナ、ナ、ナ、ナント、
わずか15分で完了
できる技術なのです。(日本工営、TTESのプレスリリースはこちら)
橋が劣化すると、橋桁の「たわみ」が大きくなってくるので、これを計測したデータは維持管理の上で有力な手段です。
しかし、一口にたわみ計測と言っても、河川内に足場などを設けて「固定点」を作り、そこから橋桁までの高さを計測するこの方法だと河川管理者との協議や、足場の設置などの手間ひまがかかりました。
そこで両社は、橋の上に加速度センサーを設置してトラックなどの車両を時速10km~20km程度で走らせ、橋桁の応答加速度を測定。そのデータを解析することで、たわみを逆算するという手法を導入します。
現場で必要な作業は(1)センサーを設置して→(2)センサーのスイッチを押して→(3)車両を通すだけで、後はクラウドがデータを受信して変位をくれるというわけです。
この方法だと、変位計測のための固定点は必要なく、橋桁の上という
“空中”で変位計測
できることになります。変位計測で「固定点」を不要にしたことが、イノベーションと言えますね。
両社は、数多くの橋のデータクラウドに集積し、ICT(情報通信技術)によって解析や耐荷性を評価するまでをパッケージ化したワンストップサービスを提供する計画です。
どの橋を優先的に対策や補修するべきかという順位決定のサポートも行うので、地方自治体の職員にとっては大助かりですね。
このサービスは2020年度中の提供開始を目指しています。将来は対象とする橋梁の拡張やデータ分析の信頼性向上を図り、人手不足や維持管理コスト高騰などの課題解決や事故防止リスクを低減していく方針とのことです。