DWG互換CADのBricsCADがBIMソフトに進化! タカミヤが足場業務を効率化
2020年10月30日

管理人のイエイリです。

仮設材の製造やレンタルを行うタカミヤ(本社:大阪市北区)は、足場の設計や物流管理などにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用しています。

BIMを使うことで既存構造物との干渉を避けて足場をかけたり、足場部材の数量を計算したり、周辺住民への説明を行ったりする業務をスムーズに行っています。

既存の構造物を避けて設計した足場のBIMモデル(左)と、BIMモデル通りに設置された足場(右)(以下の資料:タカミヤ)

足場組み立ての施工シミュレーション。周辺住民に対する説明もわかりやすい

道路から75度の角度で見上げて構造物がはみ出さない車線規制エリアをシミュレーションした例

同社は足場業務をスムーズに行うため、BIMソフトを活用していますが、その使用ソフトは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BricsCAD

なのです。(タカミヤの「仮設BIM」のサイトはこちら

BricsCADで作られた足場のBIMモデル

BricsCADとは、図研アルファテックが販売する「DWG互換CAD」です。建設業界で幅広く使われているAutoCADに似た操作方法や、ファイルフォーマットとしてDWG形式を採用し、価格は機能によって10万~20万円程度と低価格です。

これまでは2次元CADというイメージでしたが、ここ数年で着々と3Dモデリングや属性情報を取り扱うBIM関連の機能を強化した結果、今では「BIMソフト」と言っても過言ではないレベルまで進化しました。

一方、ファイル形式はDWGのままです。2次元図面の作成で使い慣れたBricsCADでBIMに進んでいけるのは、コスト的にも心理的にもハードルが低いですね。

タカミヤでは、BricsCADの機能をカスタマイズして、足場業務関連の業務をスムーズに行っています。

例えば、数量や重量の算出の業務用に開発したコマンドは、BIMモデル上で足場の範囲を選択するだけで、部材ごとの数量や合計重量が一発で出るようにしました。

トラックの積載可能重量を目いっぱい生かしながら、どこまでの足場が運べるかがすぐに分かります。

BIMモデル上で足場の範囲を選択する(上)と、各部材の数量とともに合計重量が一発で算出される(下)

また、足場の膨大な部材をBIMモデル化すると、データ容量も大きくなるので、データの軽量化にも努めています。

例えば、パイプの肉厚を「ゼロ」に、継ぎ手の部分をシンプルな円にした「ライトモデル」を使って、見た目はそのままで、

ファイル容量を95%削減

しているのです。

詳細モデル(左)とライトモデル(右)

ライトモデルを使うことで、足場のファイル容量は95%も削減できた

BricsCADで作られたBIMモデルはDWG形式ですが、BIMモデル統合ソフト「Navisworks」によってRevitやARCHICADなどのデータと一体化することで、干渉チェックや工程シミュレーションなどが行えます。

また、各BIMソフトはDWG形式の読み書き機能があるので、データのインポートやエクスポートも問題ないとのことです。

Navisworksによって他のBIMソフトの建物データとBricsCADの足場BIMモデルを合体表示した例

「これからBIMに取り組みたいけど、高価なBIMソフトはせっかく投資しても使いこなせるかどうか心配だ」「わが社は施工業務がメインなので、あまり細かい属性情報は扱わない」といった会社の方は、低価格なBricsCADでBIMに取り組んでみるというのも、一つの方法ですね。

なお、タカミヤでのBricsCADによるBIMへの取り組みについては、2020年11月26日にオンラインで図研アルファテックが主催する「BricsCAD V21 オンラインカンファレンスから.dwg互換CADの挑戦~」で、イエイリがタカミヤの浜田和樹氏と特別対談を行います。ご興味のある方は、図研アルファテックのウェブサイトでお申し込みください。

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