管理人のイエイリです。
国土交通省は2017年度から、ICT(情報通信技術)などで建設現場の生産性向上を実現した団体を「i-Construction大賞」として表彰しています。
同省は2021年2月26日、令和2年度の受賞者26団体を発表しました。対象は令和元年度に完成した工事や業務です。
応募作品の中から選考委員会が、有効性・先進性・波及性の観点から厳正に審査した結果、
ナ、ナ、ナ、ナント、
国土交通大臣賞5団体
と、優秀賞21団体の受賞が決まったのです。(国土交通省のプレスリリースはこちら)
今回はいったい、どんな取り組みが国土交通大臣賞に選ばれたのかを見てみましょう。
まず、工事・業務部門で大臣賞に選ばれたのは高橋建設です。
高知県が発注した国道439号の改良工事で、急斜面で危険性の高い起工測量や丁張設置、現地確認を避けるため、3次元の測量・設計データを活用して立会時間の短縮や作業の安全性を向上させました。
このほか、全国で初めて3Dマシンガイダンスを搭載したミニバックホーを活用し、厳しい現場条件下での安全性や生産性を向上させたことが評価されました。
続いて、地方公共団体などの部門では、富山市が大臣賞に輝きました。
社会インフラの維持管理を効率化するため「富山市センサーネットワーク」を構築して、橋梁や除雪、河川の各分野で効率化を実現しました。
橋梁工事ではCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入で配筋状態を可視化し、施工段階での鉄筋干渉などの問題を設計段階で解消するフロントローディング(業務の前倒し)や、道路占用許可申請をネット化、「i-Construction推進シンポジウム」を開催してインフラ老朽化への対応や生産性向上について関係者の理解を深めたことなどが評価されました。
最後に、i-Construction推進コンソーシアムの会員部門では、3つの団体が大臣賞に輝きました。
中でも特筆すべきは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
岩見沢農業高等学校
が、「ICT施工の全面実用化に向けた研究」で大臣賞を受賞したことです。
排水性が悪かった同校の畑、2000m2の地盤改良工事を、ICT施工と従来工法で実施し、人員や時間を比較検証するという、プロも顔負けの取り組みです。
同じ作業で繰り返す排水工の施工では、経験が浅い高校生5人がサイクルタイムを計測・分析した結果、ICT重機の方が早い段階で作業スピードが上がっていることを突き止めました。
このほか、三井住友建設は、鉄筋組み立て自動化システム「ロボタラス」の開発が評価されました。鉄筋の配置や結束作業をロボットアームで自動化したことで、作業員1人当たりの作業量が約50%も増加しました。
鉄筋の自動組み立てを溶接でなく、結束を使った国内初の試みであるほか、鉄筋組み立て作業を自動化する道を切り開きました。
また、テレビCMでもおなじみの職人さん向けマッチングアプリ「助太刀」も大臣賞に輝きました。
これまで出会うのが難しかった職人と工事会社のマッチングを実現したほか、工事代金の支払いや労災保険、工具の修理や建機レンタルなどをワンストップで提供できる唯一のプラットフォームであることが評価されました。
このほか、優秀賞を受賞した21団体の中には、生産性を2倍以上に高めた事例もあり、i-Constructionは「カイゼン」から「デジタルトランスフォーメーション(DX)」へと進化しつつあることを感じました。
各プロジェクトの詳細は、国交省のウェブサイトで各団体の取り組みを紹介した資料が公開されていますのでご覧ください。
●令和2年度i-Construction大賞受賞者一覧(◎印は国土交通大臣賞、無印は優秀賞)
【工事・業務部門】 【地方公共団体等の取組部門】 【i-Construction推進コンソーシアム会員の取組部門】 |