管理人のイエイリです。
三重県紀北町を流れる二級河川、赤羽川でこのほど、河道に堆積した土砂を撤去する工事が行われました。下の断面図を見てわかるように、現況の河道を赤の計画ラインまで掘り下げる工事です。
この河原の土砂が計画通りに撤去されているかを確かめるため、2021年2月2日の午後、発注者の三重県県土整備部と受注者の平野組(本社:三重県紀北町)は、福井コンピュータと共同で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
遠隔臨場による段階確認
を行ったのです。(福井コンピュータのプレスリリースはこちら)
「遠隔臨場」とは発注者による立会検査を、オンライン会議のように行うものです。
使用したシステムは、福井コンピュータのデータ共有クラウドサービス「CIMPHONY Plus」に、現場計測アプリ「FIELD-TERRACE」とエコモット(本社:札幌市中央区)の遠隔臨場システム「Gリポート」、そしてWEB会議システムを加えたものです。
2021年1月18日付けの当ブログ記事で紹介したように、このシステムの特徴は段階確認すべき場所をCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデル上で指示できることです。
今回の遠隔臨場では、長さ367mにもわたる河原上で発注者が任意の2点を指示し、現場の技術者がピンポイントでその場所に向かい、土砂撤去後の高さを確認しました。
この「任意の2点」を指示するところに、CIMモデルを使う強みが発揮されました。その一部始終はどうだったのかを見てみましょう。
発注者が測定ポイントを指示するのに使ったCIMモデルは、土砂撤去完了後の河道を点群計測し、3Dモデル化したものです。
このCIMモデルを「CIMPHONY Plus」上で発注者、現場事務所、現場の担当者がリアルタイムで共有し、計測場所を指示したり、計測結果を表示したりするのに使いました。
発注者による計測箇所の指示は、CIMモデル上に表示された無数のメッシュから任意の2点を選んで行われました。まさに、河原に向かって“ダーツを投げる”ようなイメージです。
すると現場にいる技術者は、携帯端末と測量用のプリズムを持って指示された場所に移動します。現場には墨出し用のトータルステーションが設置され、
ミリ単位の位置誘導
が可能なのです。
そして、プリズムを地表面に立てて、その場所の高さをトータルステーションで測ると、発注者にも測定結果がリアルタイムで表示され、規格値に収まっているのかをオフィスにいながら確認できるというわけです。
この検査箇所では、地表面の設計高さが「10.736m」に対し、実測値は「10.688m」と、わずか「-4.8cm」の差でした。一方、規格値は「±26cm」ですから、余裕で合格となりました。
今回の遠隔臨場は、三重県の尾鷲建設事務所を含め7拠点にリアルタイム中継されました。
遠隔臨場システムは、昨今のコロナ禍により急速に普及しています。「現場での3密防止」のほか、発注者の「移動のムダ削減」、そして「紙資料の削減」によりコロナ対策と生産性向上を両立できるメリットがあります。
実際、この遠隔臨場がどのように行われたのかは、下の動画を見ると雰囲気がよくわかりますよ。