日立が“原発”施設をメタバース化! 遠隔地の技術者もスマホ、生成AIで現場にいる感覚で業務に参加
2023年12月21日

管理人のイエイリです。

エネルギーや交通分野の建設、製造、保全などを行う日立製作所のお困りごとは、現場から離れた場所にいる技術者が、現場のことを直感的に把握できなかったり、大量データの中から必要な情報にアクセスしにくかったりすることでした。

そのため、異なる部署間で現場の課題についての認識に違いが発生して「工事の手戻り」や、他の工事が終わってから、次の作業に着手する「手待ちのムダ」などが発生していました。

こうした問題を解決するため、同社が開発したのが「現場拡張メタバース」という技術です。

現場を3Dモデルによってデジタルツイン(デジタルの双子)化し、

ナ、ナ、ナ、ナント、

遠隔地のメンバー

がその仮想空間に入って、あたかも現場にいるように仕事ができるのです。(日立製作所のプレスリリースはこちら

原子力発電所内の構造物の実寸大模型を、「現場拡張メタバース」の技術によってメタバース化したもの(以下の資料:日立製作所)

原子力発電所内の構造物の実寸大模型を、「現場拡張メタバース」の技術によってメタバース化したもの(以下の資料:日立製作所)

この技術は、日立グループの日立GEニュークリア・エナジー(本社:茨城県日立市)と、日立プラントコンストラクション(本社:東京都豊島区)が行った、原子力発電所の実寸大模型(モックアップ)の移設工事に使われ、その効果を存分に発揮しました。

まず、メタバース空間への「現場情報をインプット」する作業では、現場にいる人がモックアップを3Dスキャン技術によって、現場をメタバース空間上に再現し、様々な情報をメタバース空間にひも付けしていきました。

日立が開発した作業着型のセンサーやスマホアプリなどを使って、データの取得位置を自動把握し、現場の人やモノに関する情報を画像や映像、文書、音声、そしてIoTデータとして、メタバース空間に配置しました。

これらのデータには、位置情報のほか「5W1H」情報も付加することで、遠隔地にいる人にもわかりやすくしました。

一方、遠隔地にいる人が「現場情報にアクセス」する手段としては、ノートパソコンやスマホなどのウェブブラウザーを使い、様々なデータや文書などが、現場のどの部分に関するものなのかを、メタバース空間で位置を確認しながら見られるようにしました。

データが3D空間内に整理されているので、遠隔地の人も必要なデータを簡単に選び出して活用できます。

モックアップ移設工事で、現場拡張メタバースを適用したイメージ

モックアップ移設工事で、現場拡張メタバースを適用したイメージ

さらに、従来型の検索機能だけでなく、

生成AIで対話形式

によって、必要な情報を取り出せるようにしたのです。

例えば、メタバース空間上で場所を指定し、「このあたりで7月に撮ったクレーン画像を見せて」と、生成AI(人工知能)にリクエストすると、下記のような画像がすぐに取り出せます。

膨大なデータから、生成AIによって必要な画像を取り出した例

膨大なデータから、生成AIによって必要な画像を取り出した例

このメタバースは、上記3社が合同で、2023年7月から8月の約2カ月間、原子力発電所のモックアップ移設工事に使われました。

現場で作業終了時に行われる「夕礼」を、このメタバース上で行ったところ、遠隔地にいる工事関係者もスマホなどで参加し、現場状況の共有や合意形成が可能になりました。

そして現場の工程に合わせて、タイムリーな図面作成や、柔軟な作業計画が立案できるようになり、業務効率がよくなったそうです。

今後、日立GEニュークリアエナジーと日立プラントコンストラクションは、現場拡張メタバースを原子量発電所における各種作業に活用し、現場で、現物を見て、現実を認識する「三現主義」を、遠隔地にいる技術者にも広げる計画です。

最近は、Matterportや360度カメラなどで、スピーディーかつ簡単に現場を3Dモデル化できる機器も増えてきました。現場をサクッとメタバース化して、リアルタイムに情報共有を図るという働き方改革は、参考になりますね。

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