管理人のイエイリです。
社会インフラ分野におけるドローン(無人機)活用で、橋梁の点検は今後、大きな需要が見込まれています。
長大な橋桁を効率的に撮影するには、風に強く高精細なカメラを搭載できる大型のドローンが適している一方、細かな部材が多くある橋桁内部の点検には小型のドローンが向いています。
いったい、どちらを使ったらよいのか、悩んでしまいますね。
こうした悩みに首都高技術とNTTドコモが一つの結論を出しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
大小2種類のドローン
を使い分け、橋桁の外部と内部を手分けして点検しようという方法なのです。(首都高技術とNTTドコモのプレスリリースはこちら)
大型ドローンには自律制御システム研究所(本社:東京都江戸川区。2021年6月24日から「ACSL」に社名変更予定)が開発した「ACSL-PF2」を採用しました。
高精細カメラやライトのほか、自律飛行用のLiDAR(3Dスキャナー)やステレオカメラを搭載し、橋桁下の定められたルートを決められた速度で自動的に飛行し、橋桁の外側をくまなく撮影します。
一方、小型ドローンには、Skydio, Inc.(本社:米国カリフォルニア州レッドウッド)が開発した「Skydio 2」を採用しました。
機体の上下には大小6台の魚眼レンズが搭載されており、機体の周囲360°にある障害物を回避しながら自律飛行を行います。
約90cmの幅、高さがあれば橋桁内部に入り込んで飛行し、機体の上下に取り付けたカメラで橋桁内部をくまなく撮影できます。
これらのドローンによる点検手法は、足場が組みにくい河川や海上にかかる橋梁の定期点検前に、異常個所などを洗い出す「スクリーニング」を行うために、両社が開発しました。
橋桁の裏側などでは、GNSS(全地球測位システム)の位置情報が取得しにくいため、これまでは撮影した映像と場所とひもづけが難しいという課題がありました。
そこで、撮影した静止画や動画は、NTドコモが運営するドローン用のクラウドシステム「docomo sky」にアップロードし、
静止画は飛行ルート
に沿った形で表示し、動画は確認が必要な箇所にコメントを付与する機能を活用することで、効率的に点検前のスクリーニングが行えるようにしました。
これまでは、異常のあるところもないところも、点検者が現場に出向いて橋桁の内外を見て回るという大変な作業が必要でした。
しかし、ドローンでくまなく映像化し、クラウドにアップしておくと、異常箇所をピックアップする作業をテレワークで行えるので、ぐっと効率的に点検が行えそうですね。また異常個所を発見する作業も、AI(人工知能)で自動化することもできそうです。
それにしても、世界中の数あるドローンの中から、最適な2種類のドローンを探し出してきた両社スタッフの調査力にも感心した次第です。