管理人のイエイリです。
国土交通省が2021年3月26日に本格オープンした都市のデジタルツインプロジェクト「PLATEAU」は、そのリアルさや規模などで、世の中のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)、VR(バーチャルリアリティー)、GIS(地理情報システム)などの関係者に衝撃を与えました。
一方、アナザーブレイン(本社:長野県富士見町)は、PLATEAUと可能な限りの互換性を持つ3D都市モデルプラットフォームサービス「toMAP」を同じ日にリリースしました。
この「toMAP」を使うと、PLATEAUの都市モデルを
ナ、ナ、ナ、ナント、
自由にカスタマイズ
できるのです。(アナザーブレインのプレスリリースはこちら)
例えば、東京・葛飾区では公衆無線LAN「Katsushika_Free_Wi-Fi」のサービス提供エリアを公開しています。各アクセスポイントの情報は、名称や住所、緯度・経度などのテキスト情報で整理されています。
このテキストデータ(CSV形式)を、アナザーブレインが開発したコンバーターで処理することで、PLATEAUと互換性のあるデータになり、toMAP上で都市モデルと一体化して表示できるのです。
アナザーブレインでは、PLATEAUと互換性のある都市モデルを「toMAP」のクラウドサーバーに格納し、各社のセンサー情報や統計データなどをリアルタイムに都市モデルと合体して表示できるシステムを提供しています。
リアルタイムなデータと3D都市モデルが合体することで、デジタルツインとしてのパワーはますますアップしそうですね。
このプラットフォームに着目したのが、MR(複合現実)やAR(拡張現実)の事業を展開するホロラボ(本社:東京都品川区)です。
ホロラボでは、BIM/CIMモデルをHoloLens2などのMR/ARデバイスで手軽に見られるようにする「mixpace」というクラウドシステムを開発し、SB C&Sとともに運営しています。
ホロラボは2021年5月24日、アナザーブレインとの提携を発表し、Revitなどで作られた高精細のBIMデータを
toMAP用に自動変換
して、PLATEAUの都市モデルと一体的に扱えるシステムを開発中であることを明らかにしました。(ホロラボのプレスリリースはこちら)
PLATEAUの都市モデルのLOD(詳細度)は、東京駅周辺などでもまだ「LOD 2」にとどまっていますが、ホロラボのシステムを使うとさらに詳細度が高い「LOD 3」や「LOD 4」の建物データをPLATEAUの中に出現させることができるようになります。
このほか、3Dレーザースキャナーなどで計測した点群データをPLATEAU互換形式に変換して可視化やデータ管理を行うシステムや、写真から3Dモデルを作る「フォトグラメトリー」のデータをPLATEAUモデルと重ねて見るシステム、各社の独自サーバーにtoMAPの仕組みをインストールするサービスなどの展開にも備えて、様々な開発を行っています。
PLATEAUの都市モデルデータは無料でダウンロードして使えるのが大きな魅力です。しかしデータがあまりにも巨大なので全国各地のデータを自由自在に扱うのは難しい面があります。
toMAPのようなプラットフォームに都市モデルが整備され、ユーザー独自のBIM/CIMモデルや点群データなどと連携できるようになると、PLATEAUの都市デジタルツインの利便性や活用度は、ぐっと高まりそうですね。