分電盤が情報端末に、ロボットも続々投入! 清水建設のビル現場デジタル化構想が見えてきた
2021年7月30日

管理人のイエイリです。

清水建設は東京・港区で、地上64階、延べ床面積約46万m2の超大規模ビルを建設中です。このビルは曲線が多いデザインなので、施工の難易度は非常に高く、生産性向上にデジタル技術が不可欠です。

その工事現場には、5フロアごとに大きなタッチディスプレーを備えた“情報端末”が設置されており、図面や工程表を見られるようになっています。

タッチディスプレーで図面を確認する施工管理技術者たち(特記以外の写真、資料:清水建設)

この情報端末は、「スマートステーション」というもので、その正体は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

現場用の分電盤

なのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

多機能タイプの分電盤「スマートステーション」。タッチディスプレーのほか360度カメラやWi-Fiルーター、ブレーカーの遠隔操作機能などが搭載されている

ベースとなる「スマート分電盤」。タッチディスプレー以外の機能を搭載している●

スマートステーションでは、搭載されたタッチディスプレーを使って、図面などの閲覧のほか、当日の作業内容や資材搬入状況、タワークレーンの揚重状況の確認、WEB会議への参加、そして分散朝礼のガイドなどとして、パソコンのように利用できます。

スマートステーションのベースとなるのが「スマート分電盤」です。ディスプレーはありませんが、360度カメラやWi-Fiルーター、使用電力量の監視、ブレーカーの遠隔操作機能などが搭載されています。

これらの分電盤はビル全体で合計127台を設置します。

現場の施工管理者や作業員は、手ぶらで現場に出掛けても、スマートステーションを通じていつでも施工に必要な情報を得たり、コミュニケーションを図ったりできるというわけです。

また、この現場では建物すべてを覆うようにWi-Fi網が構築されているので超・超高層エリアでもロボットの自律運転や写真・動画のスムーズな送受信ができます。

現場の管理はすべてデジタル化されています。例えば、作業員の入退場や健康状態などの作業員管理、車両の入退場管理のほか、地下水位や山留めなどの安全管理、品質管理や工程管理、各所の監視カメラの映像分析はデジタル技術で効率化しています。

これらの施工管理データを集中管理するのが統合監視室「Smart Control Center」で、

33台の55インチモニター

で現場の様々な動きを“見える化”しているのです。

33台の55インチモニターを備えた統合監視室「Smart Control Center」

この現場は、清水建設が施工中の虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(虎ノ門・麻布台プロジェクト)A街区に新築する複合棟です。

清水建設の建築工事デジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」を実践する場として、超大規模現場の施工にチャレンジしているのです。

建築工事をデジタル化する「Shimz Smart Site」のコンセプト

その中核となるのはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データの活用です。BIMモデルで鉄骨の見積もりや発注、複雑な形状の納まりや施工方法の検討、図面のデジタル承認、3次元曲面部材の3Dプリンターによる製作などを行っています。

ロボットの活用にも力を入れており、今後、鉄骨の溶接ロボットのほか資材の自動搬送、床張り、巡回用の自律型ロボット、さらには石こうボードの切断や断熱用ロックウールの吹き付け、清掃などを行うロボットが続々と投入される予定です。

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