管理人のイエイリです。
国土交通省が2021年に全国約50都市を対象に作成・公開した3D都市モデル「PLATEAU」は、まちづくりや防災、ドローンの飛行ルート検討など、幅広い分野で活用されています。
特に東京・新宿区や千代田区など高層ビルが立ち並ぶエリアは、ビルの3D形状やテクスチャーが再現されたLOD(詳細度)が「2」の高精細モデルが集まり、圧巻です。
この迫力あるPLATEAUの3Dモデルは、意外な分野でも活用されていました。
その分野とは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
フライトシミュレーター
のシーナリー(風景)なのです。
フライトシミュレーター界で“Shigeさん”として知られる石井さんは、20年以上前からMicrosoft Flight Simulatorなどのシーナリーを趣味として作ってきました。
今回、PLATEAUのデータが公開されたのを機に、そのリアルな3Dモデルを使ってフライトシミュレーターに元から付いている風景を次々とグレードアップしているのです。
2020年に発売された「Microsoft Flight Simulator 2020」(以下、FS2020)についている街並みは、それ以前の製品に比べるとシーナリーのリアリティーがとてもリアルになっています。
実際の飛行機からの眺めとほとんど変わらないので、遠距離飛行の訓練に十分使えます。
しかし、一つ一つのビルをよく見ると、実際の形と違っていたりすることがよくあります。そこで石井さんはPLATEAUの3Dモデルを使って、ビルの3Dモデルを一つ一つ、作り直しているのです。
新国立競技場などの有名建築物は、PLATEAUのデータもしっかり作ってあるので、そのまま入れ替えました。
石井さんはこのようにして、新宿のほか東京駅周辺や六本木、虎ノ門、銀座、汐留などのビル群を続々とリアル化しています。
●PLATEAUからFS2020への変換手順 (1)PLATEAUから建物の壁面テクスチャー付きLOD2モデルの「obj形式」を選択してダウンロード。 (2)FS用の建物作成ソフトMCXで「obj形式」から「3ds形式」に変換。 (3)「3ds形式」をGmaxで読み込んだ後にCG加工できる「gmax形式」に変換。 (4)Gmaxで合成加工したCGを「MDL形式」で出力しそれを再びMCXで「obj形式」に書き戻し。 (5)加工後の「obj形式」データをblenderで読み込み夜間の照明やアルファ処理を追加、FS2020標準のgltf形式に変換後、フライトシミュレーターで建物が表示できるBGLにコンパイルしてシーナリー化。※データの加工には、オートデスクの3ds Maxの機能限定版の「Gmax」を使用。自作CGと合成してないPLATEAU版シーナリーはMCXで読んだobj形式データを直接gltf形式に変換してBGLへコンパイルしている。 |
PLATEAUのデータが公開されたことで、ありがたかったのは、ビルの屋上にある機器を3Dモデル化できたことでした。
下からビルを見上げる時には見えませんが、低空飛行時に飛行機のコックピットから見下ろしたときのリアリティーに大きな違いが出ますね。
このほか、こだわっているのは夜景です。FS2020は飛行する時間を自由に設定できるようになっており、夜間モードだと
ビルに照明がともる
ようになっています。
先の東京都庁も、元から付いているモデルは夜になると真っ暗ですが、PLATEAUのデータで改良したモデルにはさらに石井さんが照明機能付きの窓を設置しているので、夜にはこうこうと照明がともります。
石井さんがPLATEAUのデータを利用して作ったリアルなシーナリーは、「TOKYO & YOKOHAMA(Microsoft Flight Simulator」)というウェブサイトで無料公開されていますので、FS2020を使っている人はダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
設定方法については、「たぶろぐ」の「究極の東京VFRシーナリー」という記事が参考になりますよ。