管理人のイエイリです。
トンネル技術に定評のある西松建設はこれまで、トンネル工事用に様々な3D施工管理システムを開発してきました。
まずは、掘削する地盤に関するものでは、2016年11月に発表したトンネル工事用のCIM(コンストラクション)システムがあります。
地層科学研究所が開発した地質モデリングソフト「Geo-Graphia」を使って、高精度な3D地質モデルを構築したり、各種施工データを取り込んだりして、一元管理を行うものです。(2016年のプレスリリースはこちら)
また、地盤を掘削するシールド機に関するものでは、2017年12月に発表したシールド自動解析診断ステム「NS-BRAINS」があります。
シールド機でトンネルを掘進する際の、掘進や裏込め、排出土などのデータをリアルタイムに取り込み、分析を行うことで工事のリスクを事前に予測し、早期に対策を行うことで、トラブルを未然に防ぐものです。(2017年のプレスリリースはこちら)
そして、このほど、さらなる進化が発表されました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
両システムが合体
し、シールドトンネルCIM管理システム「NC-ShiONS」という新たなシステムが誕生したのです。(西松建設のプレスリリースはこちら)
これまで、両システムは独立して運用されてきたため、掘進中に必要なデータを取り出したり、対策をとったりする際に、操作性やスピードに課題がありました。
そこで両システムを統合した結果、施工計画では事前調査による地質断面図やボーリング情報から、切り羽面の地質変化に対応して、加泥材の添加量設定などのパラメーターや排土処理の検討といった精密な施工計画が行いやすくなりました。
また、掘進中は現在のシールド機の位置を、地盤CIMモデル中にリアルタイム表示できるため、
地盤中の埋設物を“透視”
するかのように、埋設物との離隔距離などを把握しながら、安全かつスピーディーに掘削を進めることができます。
これらの3D情報は、タブレット端末でいつでも見られるため、「CIMモデルを工事関係者全員で活用し、生産性向上を図る」という使い方も可能になります。
トンネル完成後は、掘削時の各種データを一元管理して記録できるので、施工全体のトレーサビリティーを行ったり、完成後の維持管理に活用したりすることも可能です。
シールド工事の施工管理も、KKD(経験・勘・度胸)から、データドリブン(データによる意思決定)へと、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)の方向に着々と進んでするようですね。