管理人のイエイリです。
フジタが徳島県小松島市内で施工する「令和元-4年度横断道羽ノ浦トンネル工事」の坑内でこのほど、360度カメラを搭載したセンシンロボティクス(本社:東京都渋谷区)ドローン(無人機)の自律飛行に成功しました。
トンネル坑内では地上のようにGNSS(全地球測位システム)が使えず、ドローンの現在位置を把握するのが難しいため、ドローンの操縦は人間のオペレーターが手動で行うのが普通です。
にもかかわらず、このドローンが自律飛行を行えるのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
LiDARが搭載
されているからなのです。(センシンロボティクスのプレスリリースはこちら)
LiDARとは、最近のiPhoneやiPadの上位機種などに搭載されている3Dスキャナーのような機器です。
この機器で周囲のトンネル壁面や障害物などを点群計測し、そのデータを手がかりにしてドローンの現在位置を認識します。
そのため、GNSSが受信できないトンネル坑内や暗闇でも、トンネル坑口から掘削最前線の「切羽」まで、ドローンが自律飛行できるのです。
ドローンはトンネル掘削延長約400mの区間を約7分で自律飛行しました。秒速1mで飛行し、50cmごとに360度写真を1枚撮影します。
このカメラ映像を、OpenSpaceという360度現場モニタリングシステムで、AI(人工知能)が10分程度、処理すると、トンネル坑内が全長にわたってVR(仮想現実)化され、クラウドで情報共有が行えます。
トンネル内の360度写真は、時系列で比較したり、BIM/CIMモデルと連動したりして見ることができます。
つまり、ドローンの自律飛行で得られた360度写真で、
坑内をデジタルツイン化
し、現場内の巡視点検をテレワークで行えるというわけです。
VR空間内にコメントやデータを添付して点検や検査の記録として使えるほか、受発注者間でリアルタイムな工事情報を共有することも可能です。メタバースのようなコミュニケーションもできそうですね。
通常、現場巡視は複数人で複数回、行っていますが、このシステムを使うと1回1時間/人の時間が削減できるほか、データ整理の時間も80%削減できるとのことです。
そして今後はLiDARで得られた点群データを使って、出来高管理や出来形管理を行うことも視野に入れています。
ドローンは、LiDARという新たな機器によって、活用範囲がさらに広がっていきそうですね。