パスコのドローン自律点検技術が進化! 赤外線カメラを駆使し高温地帯も安全に
2022年4月1日

管理人のイエイリです。

航空測量大手のパスコは、自律飛行型監視ロボット「セコムドローン」を使って、公共インフラ施設の自動巡回技術に取り組んでいます。

2021年8月には、権現堂調節池での不法投棄防止やアオコ発生観測の実証実験に成功しました。(詳しくは、2021年8月25日付の当ブログ記事を参照

そして同社はさらに複雑で、大規模な施設のドローンによる自律点検にチャレンジし、2021年12月13日、14日に大がかりな実証実験を行いました。

その舞台となったのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

日本最大級の下水処理施設

 

である「荒川水循環センター」なのです。

日本最大規模の荒川水循環センター(写真:荒川水循環センターのウェブサイトより)

日本最大規模の荒川水循環センター(写真:荒川水循環センターのウェブサイトより)

埼玉県荒川左岸南部下水道事務局の協力を得て、同センターで行われた実証実験では、地形や施設、障害物などの3次元モデルを活用した飛行ルートの計画や、人が立ち入れない場所の監視から、自律飛行での離着陸、そしてドローンに搭載したカメラによる精度や確認できる範囲について実証実験を行いました。

実証実験箇所の配置。広い範囲に分布している

実証実験箇所の配置。広い範囲に分布している

自律飛行の3つのルート

自律飛行の3つのルート

自律飛行のルートは3つ設定し、(1)上空から分水槽を巡回し、目視では把握できない屋上蓋や壁面上部などの状況確認、(2)焼却炉の上空を周回し、煙突からの高温ガスの排出や、敷地内汚水マンホールの開閉状況の確認、(3)荒川への放流ゲートまでの1.3km区間の状況確認、というミッションを行いました。

焼却施設からは高温のガスが排出されていますが、ドローンに搭載した赤外線カメラで、目に見えにくい高温ガスの排出状況を可視化することができました。

焼却施設の煙突から排出される高温ガスは、肉眼では見えない(上)が、赤外線カメラに熱画像では確実に把握できる(下)

焼却施設の煙突から排出される高温ガスは、肉眼では見えない(上)が、赤外線カメラに熱画像では確実に把握できる(下)

また、地震や水害などの影響で、汚水マンホールの蓋が開いてしまうことがあります。この場合、落下事故や臭気の拡散などの問題があります。

そこで、ここでも赤外線カメラを使い、熱画像からマンホールの

 

開閉状況を把握

 

することにも成功したのです。

ドローン画像だけだとマンホールの存在や開閉状況がわかりにくい(上)。赤外線画像を見ることで、開いているマンホールの蓋を見つけられる(下)

ドローン画像だけだとマンホールの存在や開閉状況がわかりにくい(上)。赤外線画像を見ることで、開いているマンホールの蓋を見つけられる(下)

ドローンの官民協議会が発表した「空の産業革命に向けたロードマップ2021」では、2022年度内に有人地帯におけるドローンの目視外飛行(レベル4)が実現されるとしています。

パスコはこの流れに乗って、実証実験を段階的に行い、自律飛行ドローンによる公共インフラ巡視監視のサービスモデル構築を目指しています。

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