点群からBIMを効率作成する方法とは? 三谷産業とUR都市機構が維持管理を想定した共同研究
2022年6月1日

管理人のイエイリです。

UR都市機構と言えば、全国に約71万戸、1万5000棟もの賃貸住宅を保有する“スーパー大家さん”です。

その膨大な建物の維持管理を効率化するため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用も当然、視野に入れています。

ところが既存建物のBIMモデルを現地調査や過去の図面から手作業で作成するためには、多くの労力と時間が必要です。

そこで同機構は、約80人のBIMエンジニアを擁し、国土交通省の建築BIM推進会議との連携などの実績がある三谷産業(本社:石川県金沢市)グループと組み、既存建物を効率的にBIMモデル化する方法について共同研究を行いました。

その手段として選んだのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

点群データ

からBIMモデルを作る方法だったのです。(三谷産業、UR都市機構のプレスリリースはこちら

既存の集合住宅の点群データ(上)からBIMモデル(下)をいかに効率的に作成するかが共同研究のテーマだった(以下の資料:三谷産業、UR都市機構)

既存の集合住宅の点群データ(上)からBIMモデル(下)をいかに効率的に作成するかが共同研究のテーマだった(以下の資料:三谷産業、UR都市機構)

今回の研究内容は、大きく分けて2つあり、(1)団地の中層・高層建物のBIMデータ作成におけるレーザースキャナー活用、(2)レーザースキャナーによる点群データの取得からBIMデータ作成までの作業です。

研究(1)では、UR都市機構が所有する5~14階程度の中層・高層建物を対象に、ドローン(無人機)と地上型3Dレーザースキャナーで計測した点群をもとに、位置合わせやノイズ除去などを行ってBIMデータを作成しました。

その結果、寸法や座標などの形状情報は、ドローンよりも地上型レーザースキャナーによる点群の方が精度が高く、BIMモデル作成に十分、使えることがわかりました。現地調査の工数軽減や精度の向上も期待できます。

高層建物の点群データからBIMモデルを作成した例

高層建物の点群データからBIMモデルを作成した例

そして研究(2)では、点群データの取得→3Dモデルの作成→各部材への「属性情報」の付加という3つの工程があります。

この工程についてもいくつかの方法を検証しましたが、最適な作業手順を選んだり、モデリングしたりという人力作業が必要なことが課題となりました。

また、点群データを取得する際の、

データ容量の基準

がわかったことも、共同研究の成果となりました。

このほか、点群などのデータ容量が非常に大きいため、データ送受信の方法にも課題がありましたが、今後、5G(第5世代移動通信システム)の整備が進むことで改善される見込みです。

今後、点群からBIMモデルを作成する過程が自動化できるようになると、膨大な建物の維持管理業務が、BIMによって大幅に省力化できそうですね。

UR都市機構のチャレンジに、注目していきたいです。

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