管理人のイエイリです。
最近のビル現場では、施工管理の遠隔化が進みつつあり、ウェブカメラやタブレットなどの利用が増えています。
それに伴い、無線LANを現場の各階や地下で使いたいというニーズも高まっていますが、コンクリートの床などで遮られてWi-Fiの電波が届きにくいのが現状です。
このお困りごとを解決するため、古野電気(本社:兵庫県西宮市)は「ケーブル接続アンテナ」を開発しました。
複数の無線LAN用アンテナをつないだ同軸ケーブルを
ナ、ナ、ナ、ナント、
階段室に通す
ことで、各階にWi-Fiの電波を供給しようというのです。(古野電気のプレスリリースはこちら)
アンテナは軽量で電源は不要、設置は同軸ケーブルにつなぐだけです。1台のアクセスポイントで4フロアをカバーできます。
また、アクセスポイント同士が無線LANや有線LANで自動的につながる「メッシュWi-Fi」にも対応しているので、アクセスポイントを増やすだけで、ビルの高さ方向や水平方向にWi-Fiエリアを拡張できます。
古野電気は、この同軸ケーブル接続アンテナやアクセスポイントを、
大成建設、竹中工務店
の現場に設置して実証実験を行いました。
まずはビルの1階に複数のアクセスポイント子機を設置し、親機からのメッシュ技術によって配線せずにフロア内をWi-Fi化しました。
続いて、階段室内にアンテナ付きの同軸ケーブルやアクセスポイント子機を設置し、地上6階から地下2階までをWi-Fi化することに成功しました。
地上6階の階段室から各フロア内にWi-Fiの電波が届く範囲は、下図のように直線距離で30m程度でしたが、フロア内にアクセスポイントを設置すれば、Wi-Fiエリアを拡張することができます。
古野電気は高層ビル現場向けに、単管を電波の通り道となる「導波管」として使い、各階をWi-Fi化できる「ウェーブガイドLAN」を2019年に開発しています(2019年10月9日付けの当ブログ記事を参照)。
単管は設置が難しいので、今回、同軸ケーブルを使ってより簡単に設置できるアンテナを“入門版”として開発したものです。
古野電気は今後、トンネルや橋梁などの土木現場向け無線LANシステムなども開発する予定で、どんな現場でも対応できる「全現場LAN」シリーズなどの商品ラインアップ拡充に努めていくそうです。