管理人のイエイリです。
製鉄所には、高炉やコークス炉のほか、煙突、廃熱回収など、様々な設備があります。
これらの設備は巨大で、中には高さ100mを超えるものもあり、設備点検には高所作業が必要です。
そこで日本最大手の鉄鋼メーカー、日本製鉄は、製鉄所内の設備点検用に、安定して飛行し、高精度な映像を撮影できるドローンの運用を、2022年7月に開始しました。
といっても、点検に導入したのは巨大な製鉄所の設備スケールとは対照的に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
20cm角、重さ185g
の超小型ドローンだったのです。(日本製鉄、Liberawareのプレスリリースはこちら)
日本製鉄が点検用に導入したのは、Liberaware(本社:千葉県千葉市)が、屋内点検分野に特化して開発した「IBIS」というドローンです。
日本製鉄はこれまでも設備点検にドローンを活用することを検討してきましたが、設備内部が複雑で狭い部分があるため、汎用のドローンでは障害物を回避できない、気流がある場所では静止や自律飛行が難しいといった課題がありました。
IBISは機体のサイズや重量はコンパクトですが、高度な姿勢制御機能を搭載しており、狭くて複雑な設備内部でも安定して飛行し、高精度の映像を撮影できます。こうした性能が評価され、採用に至りました。
また、飛行中に撮影した動画や映像から、
3次元の点群データ
も作成することができます。
日本製鉄は、IBISの活用により、高所作業の削減や整備作業の負荷軽減、点群などの3次元データを使った設備保全の高度化を推進し、生産の安定化や効率化を図ります。
製鉄所と言えば“重厚長大”の代表的施設です。それと対照的に“軽薄短小”の代表格である超小型ドローンが組み合わさることで、製鉄設備のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が実現するのは、興味深いですね。