管理人のイエイリです。
北海道新冠町にある「太陽の森 ディマシオ美術館」は、廃校になった旧・太陽小学校の校舎をリノベーションして2010年にオープンしました。
フランス幻想絵画の鬼才、ジェラール・ディマシオが描いた世界最大の油彩画(高さ9m、幅27m)や、ガラス芸術の巨匠、ルネ・ラリックのオリジナル作品など、ユニークな展示で人気を集めています。
作品すべてをじっくり鑑賞するためには時間が必要ですが、同美術館周辺には宿泊施設がありません。
そこで2022年7月28日、同美術館の敷地内に、新冠開発共同企業体(本社:北海道新冠町)が手軽にキャンプ気分を味わえるグランピング施設、「GLAMPING VILLAGE 紅葉の里」がオープンしました。
3つあるグランピング施設は、外形が卵形だったり、外壁に深い凹凸のテクスチャーが付いていたりと、ユニークなデザインですが、會澤高圧コンクリート(本社:北海道苫小牧市)が、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリンターで“印刷”
して造ったものなのです。(會澤高圧コンクリートのプレスリリースはこちら、新冠開発共同企業体のプレスリリースはこちら)
宿泊棟の建設現場に、ロボットアーム型3Dプリンター「c3dp」を持ち込み、基礎の上にコンクリートを積み上げて建物を建設する「オンサイトプリンティング」を採用しました。
建物の高さは2.6mで、床面積は9.8m2、各宿泊棟は5~6枚のパーツで構成されており、準備や調整を含めて1日に1~2枚ずつ造形しました。
造形時期は2022年1月の厳寒期で、氷点下20度以下に冷え込む環境だったため、材料の硬化が遅く、当初は積層が崩れてしまうという問題も発生しました。そこで、仮囲いを使って温度管理を行い、冬季施工を実現しました。
宿泊棟の壁には2層の中空層があり、外側の層には鉄筋とコンクリートを充てんして鉄筋コンクリートの構造体を作り、内側の層には断熱材を充てんしました。
また、グランピング施設の周囲を囲う壁は、高さ1.2m、直径約12mで、工場で造形した12枚のパーツをプレキャスト部材として現場に搬入して組み立てました。
3Dプリンターによる自由な造形のおかげで、宿泊棟も
ディマシオ氏の世界観
にふさわしいデザインが実現できたというわけですね。
グランピング施設は1日3組限定で、定員は4人。1泊2食付きの料金は4人で8万2200円となっています。宿泊棟の定員は2人なので、残りの2人はエキストラテントで宿泊します。
この夏休みに、3Dプリンターで建設した建物に泊まってみるのも楽しそうですね。予約や詳細は、「GLAMPING VILLAGE~紅葉の里~」のウェブサイトをご覧ください。