管理人のイエイリです。
記録ずくめの暑さだった今年の夏もピークを過ぎましたが、来年以降の夏に向けて、熱中症対策の取り組みは続いています。
東急建設では2010年から、脈拍数や血圧、体温、目の動きなどの「バイタルサイン」を検証し、熱中症を未然に防ぐ技術の開発に取り組んできましたが、さらに進化した予防技術を開発中です。
そこで活用を始めたのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
加速度センサー付き水筒
だったのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
この技術は「水分摂取」と「深部体温の上昇」という2つの要因に着眼した、複合型の熱中症予防システムです。
このシステムは、水分摂取に関する九州大学大学院工学研究科の野上大史助教の知見と、深部体温測定のノウハウを持つミツフジ(本社:京都府精華町)の腕時計型ウエアラブルデバイス「hamon band」を組み合わせて構築しました。
水分摂取は、市販の水筒に加速度や温度・湿度のセンサー内蔵の計測器を使います。計測器は、野上助教とGM3(本社:東京都千代田区)が開発しました。
水を飲むときに水筒を傾けると加速度センサーが検知して摂取回数を計測します。傾けた時間と水筒の寸法から、水分摂取量も算出できます。
温度・湿度センサーで水筒の置かれた場所の環境もわかるというわけです。
また、腕時計型の「hamon band」は、正確な心拍情報から暑熱環境下での深部体温の上昇変化を推定するアルゴリズムを搭載しています。着用した本人にはバイタルデータから3色のLEDと振動で暑熱リスクを知らせる機能も付いています。
この実験は、2022年8月上旬に福岡市中央区のオフィスビル建設現場で6人の技能労働者、8月下旬に東京都千代田区のマンション建設現場で10人の技能労働者の協力を得て行われています。検証結果は11月に出る予定です。
これまで、現場の熱中症対策としては、冷水の用意や暑さ指数(WBGT)を掲示、熱中症対策用のあめの配布などが行われてきました。
しかし、現場では作業員が個々の水筒を常備する習慣があまりないため、
現場用マイボトル
を持参するという、行動変容を促すことも今回の検証の狙いです。
東急建設は今後、データを分析して、水分摂取や体温上昇のアラート情報を表示するソフトウェアなどを開発し、2023年には数件の現場に試験導入する予定です。
将来的には水筒センサーや腕時計型デバイス以外も組み合わせた、複合型の熱中症予防システムに発展させ、危険なときはスマートフォンなどに自動アラートを流す技術の開発も進めていきます。
熱中症予防の分野では、建設業は最先端産業の一つとも言えます。建設業の現場で鍛えられた熱中症予防システムは、他産業にも展開できそうですね。