管理人のイエイリです。
快適な生活をおくる上で、建物の床が水平になっていることです。
例えば、床に建築勾配がわずか5/1000(5‰)あっただけでも人間は傾斜を感じ、10/1000(10‰)でめまいや頭痛が生じ、35/1000(35‰)ともなると吐き気や食欲不振などの重い症状か現れるとされています。(日本建築学会、復旧・復興支援WG「液状化被害の基礎知識」より)
建物の傾きは、地盤の不同沈下や不等沈下によって発生し、傾きの有無や程度をめぐって居住者と施工者の間でもめるケースも多々ありました。
しかし、レベルや気泡水準器などを使った従来の計測方法では、建物全体を調べるのに手間ひまがかかり、正確性にも課題がありました。
そこで、菊池豪土地家屋調査士事務所(所在地:東京都墨田区)は、スピーディーかつ正確、リーズナブルな料金で、建物の傾斜量の計測する新サービスを2022年11月1日にスタートすることになりました。
その計測方法として選ばれたのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dレーザースキャナー
だったのです。(菊池豪土地家屋調査士事務所のプレスリリースはこちら)
計測に使用するのは、ライカジオシステムズの3Dレーザースキャナー「Leica RTC360」です。この機器はIMU(慣性計測装置)などを内蔵しており、点群とともに正確な「水平・垂直方向」のデータも記録します。
傾斜の計測精度は、建築勾配0.087/1000(0.005度)となっています。
また、点群の事前合成処理機能も搭載しており、現場で自動的に点群データと画像データを合成してチェックを行うこともできます。
一般的な戸建て住宅の場合、建物の内外、20~40カ所に3Dレーザースキャナーを設置して、点群計測を行います。1回の計測時間は約2分です。
建物の外部は7~10m間隔、内部は1部屋当たり1~3カ所に設置して点群を計測します。
現場を記録した点群データは事務所に持ち帰り、福井コンピュータの点群処理システム「TREND-POINT」によって、「床面沈下量」と「壁面移動量」を計測し、建物の部分的なひずみと建物全体の不同沈下を判定します。
サービスの成果物は、
点群データとビューワー
ソフトです。
点群は「e57」のほか各種ファイル形式に対応可能です。また、ビューワーソフトには計測値やコメントなどが入力済みで、ユーザー自身が任意の箇所を追加計測することもできます。
サービスの対象地域は日本全国で、標準納期は正式受注から1~2カ月となっています。
気になるお値段ですが、建物の延べ床面積90m2までで現地測量が30万円(税込み)、計測(データ解析)が30万円(同)となっており、それより大きな建物は10m2ごとにそれぞれ3万円(同)が加算されます。
居住者と施工者の間では「床が傾いている」「いや、傾いていない」と主観的な論争になりがちですが、このサービスを使うと建物全体を網羅した客観的、定量的なデータが明らかになるので、問題解決の「ファイナルアンサー」として活用できそうですね。