管理人のイエイリです。
建設IT関連の技術的な取材していると、よく耳にするのは「あの人は相当“ヘンタイ”ですよ」といった言葉です。
といっても、決して悪い意味ではなく、「他に類を見ない」とか、「人一倍に取り組んでいる」など、最上級の褒め言葉としての”ヘンタイ”なのです。
コロナ禍をきっかけに、テレワークが普及しましたが、チームメンバーの孤独感やコミュニケーションの不足といった課題を解決するために、”超ヘンタイな”メタバース職場が登場してきました。
まずは、日建設計(本社:東京都千代田区)とホロラボ(本社:東京都品川区)が開発した「Cyber-Physical Workplace(以下、CPW)」です。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータを使って、クラウド上に仮想のオフィス空間を作ります。
そこに自宅などでテレワークをしている人がVR(仮想現実)ゴーグルなどを着けてバーチャルに集まり、会社のみんなと職場に集まっている気分を味わえる、という点は一般的なメタバース職場と同じです。
このCPWが“ヘンタイ”なのは、リアルな職場にいる人も、その場で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
テレワーク中の人
を見ながら会話できるところなのです。(日建設計のプレスリリースはこちら)
テレワークが進むと、リアルな職場に出勤する人が減るので、逆にリアルな職場で孤独を感じてしまいがちです。
そこで、リアルな職場にいる人は、VRゴーグルの代わりに、「HoloLens」などAR(拡張現実)ゴーグルを着けて、現実のオフィス内でテレワーク中の人を表示して、相互にコミュニケーションをとれるようにしました。
つまり、仮想空間と現実空間の間でお互いの位置を合わせたデジタルツイン(デジタルの双子)を構築し、VRとARのデバイスをリアルタイムに相互接続したシステムです。
技術的には、リアルタイムな人の位置情報を人感センサーで取得し、APIを通じてVR空間に連携したことや、コミュニケーションの解像度を上げるためにゲーム用マルチプレーヤーエンジンを使用したこと、指の動きまでを再現した高精度なハンドトラッキングを実現したことが、さらに“ヘンタイ”度を高めています。
乃村工藝社(本社:東京都港区)のNOMLABと、H2L(本社:東京都港区)が開発したメタバースオフィス「BodySharing for Business」も、相当、ヘンタイなシステムです。
テレワーク中の人の、
ふくらはぎにセンサー
を取り付けて、その人の気分などを、共有できるのです。(乃村工藝社のプレスリリースはこちら)
ふくらはぎに装着するのは、筋変位センサーデバイス「FirstVR」というもので、筋肉の動きを検出し、その人に「元気度」や「リラックス状態」を推定します。
そのデータを分身である「アバター」脇のマークに、リアルタイムに反映させることで、その人が今、どんな気分で仕事をしているのかが、お互いにわかるのです。
「〇〇君、元気?」「△△さん、もっとリラックス」など、お互いの体調自体がコミュニケーションのネタになるとともに、業務を依頼したり、相談を持ちかけたりするベストなタイミングを見計らう、といった使い方も可能です。
「FirstVR」はVRゴーグルとのセットで、amazonで約1万円で販売されています。
「BodySharing for Business」は2022年10月27日から、β版を無料公開しています。
オンライン会議などのときにVRやARのゴーグルを着けて、これらの”超ヘンタイ”な最先端メタバースオフィスシステムを使えば、気分の切り替えになるほか、リアルな職場では話しかけにくかった人とも、コミュニケーションがとりやすくなりそうですね。