管理人のイエイリです。
積水化学工業の「セキスイハイム」は、工場でボックス形状のユニットを生産し、それをトラックで現場に輸送し、クレーンで据え付けます。
1棟当たりのユニット数は11~12個程度で、現場ではさらに約10人の職人さんがユニットの接合や電気配線、クレーン作業を行います。
また、1現場に約10人のトラックドライバーが、ユニット輸送とクレーン吊り上げ時の玉掛け作業を行います。こうした現場が全国で毎日、約50も稼働しているのです。
そこで同社は、IoT(モノのインターネット)システムを活用し、これまで可視化が難しかったユニット輸送と据え付け工事を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
遠隔モニタリング
するアプリを開発し、2022年9月に全国8工場の輸送管理部門に導入したのです。(積水化学工業のプレスリリースはこちら)
遠隔モニタリングのポイントとして着目したのは、現場に届いたユニットをクレーンで吊り上げる際の「玉掛け作業」です。
各ユニットに、部材識別用のバーコードを張り付けておき、玉掛け時にドライバーなどがスマートフォンで読み取ります。
すると各ユニットの据え付け時間が即座にシステムに登録され、関係者間で共有できるのです。
工事の進捗が計画より遅れている場合は、ユニットの輸送管理部門にも自動的に通知され、トラックの出発を遅らせたり、担当ドライバーを再配置したりすることができます。
その結果、現場に早く着きすぎることによるドライバーの
“手待ちのムダ”を削減
できるのです。
このシステムは、積水化学工業の販売会社の施工部門でも、2022年10月から首都圏エリアを皮切りに導入していきます。
2024年4月から、建設業界でも「働き方改革関連法」が適用され、長時間労働への規制が厳しくなるので、進捗情報の共有による“手待ちのムダ”削減は有効な対応策と言えるでしょう。
積水化学工業では、据え付け現場へのWEBカメラ導入も進めており、2022年度中に全現場に導入を完了する予定です。安全管理者は事務所からもリアルタイムで、高所作業や玉掛け作業などを利ありタイムで見守れるようになります。
さらに2025年までには、生産工程と施工工程を一元管理する「工程管理システム」や、製品輸送を一括管理する「配車管理システム」を構築し、2030年にはAI(人工知能)による最適な工程計画を自動作成するシステムへと発展させていきます。
これからの生産性向上は、これまで見えにくかった「工程」をITツールによって可視化し、最適な計画やムダの削減が焦点になってきそうですね。