遠隔操作の動作遅れをVRで練習! 西松建設とネクステラスが建機シミュレーター
2023年2月6日

管理人のイエイリです。

山岳トンネル工事の無人化に向けて、積極的に技術開発を進める西松建設は、先日、油圧ショベルを遠隔操作し、掘削最前線の切羽(きりは)での作業を無人化できる「Tunnel RemOS-Excavator(トンネルリモスエクスカベーター)」というシステムを開発しました。(2023年1月16日の当ブログ参照

「Tunnel RemOS-Excavator」によって切羽付近で遠隔操作によって作業を行う油圧ショベル(左)と、空調の効いた快適な遠隔操作室(右)(以下の写真、資料:西松建設)

「Tunnel RemOS-Excavator」によって切羽付近で遠隔操作によって作業を行う油圧ショベル(左)と、空調の効いた快適な遠隔操作室(右)(以下の写真、資料:西松建設)

しかし、遠隔操作は安全ではあるものの、遠隔操作室と建機の間で通信を行うため、実機の運転席に座って運転するときよりも、若干、遅延が生じるので、慣れるまで練習が必要です。

そこで、西松建設とネクステラス(本社:札幌市西区)は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

動作遅延を練習

 

するためのVR(仮想現実)コンテンツを製作したのです。(西松建設のプレスリリースはこちら

冒頭の写真は、実際のトンネル内で作業する油圧ショベルと、遠隔操作室です。モニターにはもちろん、実物の建機が映っています。

ところが、今回、開発したVRコンテンツでは、遠隔操作室のモニターに映っているのは、VRで作られた切羽やバックホーなのです。

そして、コントローラーで操作すると、システムがその信号をわざと遅らせてVRの建機に伝え、ちょっと遅れて建機のVRが動き出すので、動作遅延の感覚が養われるというわけです。

遠隔建機の動作遅延を練習できるVRコンテンツ。遠隔操作室の画面に映る黄色いバックホーや切羽の現場はVRで製作されている

遠隔建機の動作遅延を練習できるVRコンテンツ。遠隔操作室の画面に映る黄色いバックホーや切羽の現場はVRで製作されている

上記のVR建機が映るモニターがある遠隔操作室の様子をよく見ると、左右の窓にややゆがみがあったりします。

実は、

 

遠隔操作室自体もVR

 

でできていて、訓練を受ける人は、VRゴーグルで遠隔操作室に座った気分になり、さらにVR化されたモニターに映るVR建機の動きを見て、訓練するというわけです。

訓練者はVR化された遠隔操作室をVRゴーグルで見て、さらにモニターに映るVR化された建機の動きを見て訓練する

訓練者はVR化された遠隔操作室をVRゴーグルで見て、さらにモニターに映るVR化された建機の動きを見て訓練する

つまり、遠隔操作室のVRが「親VR」、モニターに映る建機のVRが「子VR」という複合構造になっているのです。

「親VR」と「子VR」を組み合わせたシステムの全体構成

「親VR」と「子VR」を組み合わせたシステムの全体構成

最近はVRゴーグルの解像度も、一昔前よりも向上しているので、運転席の計器なども読みやすくなっています。

モニターをいくつも組み合わせた“遠隔操作室シミュレーター”を作るだけでも大変ですから、2つのVRを組み合わせることで、コンパクトな機器で山岳トンネル工事の遠隔操作トレーニングが行えるのは助かりますね。

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