管理人のイエイリです。
山岳トンネル工事の無人化に向けて、積極的に技術開発を進める西松建設は、先日、油圧ショベルを遠隔操作し、掘削最前線の切羽での作業を無人化できる「Tunnel RemOS-Excavator(トンネルリモスエクスカベーター)」というシステムを開発しました。(2023年1月16日の当ブログ参照)
しかし、遠隔操作は安全ではあるものの、遠隔操作室と建機の間で通信を行うため、実機の運転席に座って運転するときよりも、若干、遅延が生じるので、慣れるまで練習が必要です。
そこで、西松建設とネクステラス(本社:札幌市西区)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
動作遅延を練習
するためのVR(仮想現実)コンテンツを製作したのです。(西松建設のプレスリリースはこちら)
冒頭の写真は、実際のトンネル内で作業する油圧ショベルと、遠隔操作室です。モニターにはもちろん、実物の建機が映っています。
ところが、今回、開発したVRコンテンツでは、遠隔操作室のモニターに映っているのは、VRで作られた切羽やバックホーなのです。
そして、コントローラーで操作すると、システムがその信号をわざと遅らせてVRの建機に伝え、ちょっと遅れて建機のVRが動き出すので、動作遅延の感覚が養われるというわけです。
上記のVR建機が映るモニターがある遠隔操作室の様子をよく見ると、左右の窓にややゆがみがあったりします。
実は、
遠隔操作室自体もVR
でできていて、訓練を受ける人は、VRゴーグルで遠隔操作室に座った気分になり、さらにVR化されたモニターに映るVR建機の動きを見て、訓練するというわけです。
つまり、遠隔操作室のVRが「親VR」、モニターに映る建機のVRが「子VR」という複合構造になっているのです。
最近はVRゴーグルの解像度も、一昔前よりも向上しているので、運転席の計器なども読みやすくなっています。
モニターをいくつも組み合わせた“遠隔操作室シミュレーター”を作るだけでも大変ですから、2つのVRを組み合わせることで、コンパクトな機器で山岳トンネル工事の遠隔操作トレーニングが行えるのは助かりますね。