管理人のイエイリです。
神奈川県鎌倉市内のマンションで、2022年2月、ドローン(無人機)による外壁タイルの検査が行われました。
ドローンによる外壁点検と言えば、赤外線カメラを使った方法があります。
タイルのはく離部分に太陽光が当たると周囲より温度が高くなるので、赤外線カメラで外壁表面の温度分布を撮影すれば、欠陥部分を検出できます。
ところが今回は、太陽光が当たらない日陰側の壁を検査しています。
いったい、どんな方法で外壁点検を行ったのかというと、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンから音波
を外壁に向かって照射し、“打音検査”を行ったのです。(桐蔭学園のプレスリリースはこちら)
打音検査とは、建物の周りに足場を組んで、人がハンマーで外壁をたたき、その音によってタイルの浮きなどを探す方法です。
今回は地上に高感度の「レーザードップラー振動計」を設置し、ドローンからの音波を受けている部分の外壁にレーザー光線を照射し、壁面の微小な振動の変化を計測するという方法を用いました。
もし、タイル外壁にはく離や空洞などがあれば、健全部に比べて振動の仕方が異なるので、欠陥が検出できるというわけです。
この検査手法は、桐蔭横浜大学(所在地:横浜市青葉区)の杉本恒美教授の研究室で開発されました。
今回の実験の結果、1階と2階の間に
小さなはく離
と思われる箇所が発見されました。
飛行中のドローンからの音波照射加振による「非接触音響調査法」を民間マンションに適用し、欠陥を検出した例としては初めてとなります。
今回、日の当たる側の壁は赤外線カメラを搭載したドローンで、日陰側は音波照射装置に搭載したドローンで、それぞれ検査を行いました。
大学の研究室が開発した技術を、現場で検証するチャンスはなかなかありませんが、今回は神奈川県内の大規模修繕コンサルタントの協力や住民側の許可を得て、大規模修繕の前段階として検査を実施できました。
産学民のコラボレーション事例としても、注目されますね。