管理人のイエイリです。
工事現場でよく行われている溶接作業ですが、その技能習得は、“KKD”(経験・勘・度胸)に頼っていました。
というのは、作業中に発生する強いアーク光から目を守るため、見えにくい保護マスクを着用する必要があったため、「見えづらい、見せづらい、伝わりづらい」という課題があったからです。
こうした溶接教育の問題を解決するため、川田テクノロジーズ(本社:東京都北区)と川田工業(本社:東京都北区)は、「3Dデジタル溶接マスクシステム」を実用化し、2023年1月に製品第一号を職業訓練校に納入しました。
その特長は、溶接マスクに内蔵されたヘッドマウントディスプレー(HMD)で、溶接状況を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
鮮明な3D映像
で、リアルタイムに見られることなのです。(川田テクノロジーズのプレスリリースはこちら)
といっても、従来の遮光ガラス越しで見ているのではありません。溶接マスクにはステレオカメラが取り付けられており、その映像をHMD越しにリアルタイム表示しているのです。
HMDには、電圧や電流値が重畳表示されるので、これらの情報を確認しながら作業が行えます。
ステレオカメラは従来の溶接専用カメラに比べて小型で、ピントがあう被写体深度も深くなっています。また、アーク光と周辺部分を鮮明に写すため、ダイナミックレンジも160dBあります。
作業者目線の映像は、電圧や電流値とともに、モニターに表示することができます。そのため、作業中の様子をリアルタイムで大人数で見たり、作業後に模範映像と比較したりすることも可能です。
■概略仕様: 3Dデジタル溶接マスクユニット(WTS-MS-M1) ●ヘッドマウントディスプレー(内蔵解像度:1920×1080(左右)、25コマ/秒以上) ●サイズ:長さ 340×幅 250×高さ 320 mm ●重量:1.6kg(ケーブル除く) コントロールユニット(WTS-CT-M1) |
録画した画像をクラウド上の専用ソフトに読み込むと、画像処理によって溶接棒のアーク軌跡や溶接池面積の時間変動量を算出。電流値の変動量とともに評価し、
訓練生の作業を採点
する機能も付いています。
訓練生は、これまでわかりにくかった改善点を明確に理解でき、上達の様子も定量的に示されるので訓練のモチベーションも上がります。
溶接教育を「KKD」から「データドリブン」に変え、デジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらすシステムと言っても過言ではありませんね。