川田工業グループが「3D溶接マスク」を製品化! HMDで溶接部と電流値を見ながら訓練
2023年3月13日

管理人のイエイリです。

工事現場でよく行われている溶接作業ですが、その技能習得は、“KKD”(経験・勘・度胸)に頼っていました。

というのは、作業中に発生する強いアーク光から目を守るため、見えにくい保護マスクを着用する必要があったため、「見えづらい、見せづらい、伝わりづらい」という課題があったからです。

こうした溶接教育の問題を解決するため、川田テクノロジーズ(本社:東京都北区)と川田工業(本社:東京都北区)は、「3Dデジタル溶接マスクシステム」を実用化し、2023年1月に製品第一号を職業訓練校に納入しました。

3Dデジタル溶接システムのコントロールユニット(左)と操作用のAndroid端末、溶接マスクユニット(以下の写真、資料:川田テクノロジーズ)

3Dデジタル溶接システムのコントロールユニット(左)と操作用のAndroid端末、溶接マスクユニット(以下の写真、資料:川田テクノロジーズ)

その特長は、溶接マスクに内蔵されたヘッドマウントディスプレー(HMD)で、溶接状況を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

鮮明な3D映像

で、リアルタイムに見られることなのです。(川田テクノロジーズのプレスリリースはこちら

溶接マスクユニットを装着しての作業

溶接マスクユニットを装着しての作業

作業者はHMDを通して、溶けた金属がビードになっていく様子などを、3Dで鮮明に見られる

作業者はHMDを通して、溶けた金属がビードになっていく様子などを、3Dで鮮明に見られる

といっても、従来の遮光ガラス越しで見ているのではありません。溶接マスクにはステレオカメラが取り付けられており、その映像をHMD越しにリアルタイム表示しているのです。

HMDには、電圧や電流値が重畳表示されるので、これらの情報を確認しながら作業が行えます。

ステレオカメラは従来の溶接専用カメラに比べて小型で、ピントがあう被写体深度も深くなっています。また、アーク光と周辺部分を鮮明に写すため、ダイナミックレンジも160dBあります。

作業者目線の映像は、電圧や電流値とともに、モニターに表示することができます。そのため、作業中の様子をリアルタイムで大人数で見たり、作業後に模範映像と比較したりすることも可能です。

溶接作業者(左)の後ろで、モニター越しにリアルタイム映像を見る訓練生(右)

溶接作業者(左)の後ろで、モニター越しにリアルタイム映像を見る訓練生(右)

録画を使って作業を振り返りながらの説明

録画を使って作業を振り返りながらの説明

システム構成

システム構成

■概略仕様:
3Dデジタル溶接マスクユニット(WTS-MS-M1)
●ヘッドマウントディスプレー(内蔵解像度:1920×1080(左右)、25コマ/秒以上)
●サイズ:長さ 340×幅 250×高さ 320 mm
●重量:1.6kg(ケーブル除く)

コントロールユニット(WTS-CT-M1)
●ストレージ:300GB以上
●入力端子(溶接電流、溶接電圧)
●録画データ記録機能/解析データ記録機能
●サイズ:長さ 400×幅 113×高さ 295mm
●重量:5.1kg(ケーブル除く)
●電源:AC100V/140W(50Hz/60Hz)

録画した画像をクラウド上の専用ソフトに読み込むと、画像処理によって溶接棒のアーク軌跡や溶接池面積の時間変動量を算出。電流値の変動量とともに評価し、

訓練生の作業を採点

する機能も付いています。

作業の採点結果レポート

作業の採点結果レポート

訓練生は、これまでわかりにくかった改善点を明確に理解でき、上達の様子も定量的に示されるので訓練のモチベーションも上がります。

溶接教育を「KKD」から「データドリブン」に変え、デジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらすシステムと言っても過言ではありませんね。

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