清水建設が竣工BIMモデルで新ビジネス! 運用・維持管理用にクラウド上で提供、シミュレーションも
2023年3月10日

管理人のイエイリです。

清水建設は5億円以上を投じて、建築の設計から施工、運用までをBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)でつなぐプラットフォーム「Shimz One BIM」の構築を着々と進めてきました。

建築の設計から施工、運用までをBIMでつなぐ「Shimz One BIM」のイメージ(以下の資料、写真:清水建設)

建築の設計から施工、運用までをBIMでつなぐ「Shimz One BIM」のイメージ(以下の資料、写真:清水建設)

その最終段階がついに 見えてきました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

竣工BIMモデル

を施主に提供する新ビジネスを開始したのです。

つまり、従来は建物の完成後、施主に竣工図書を提供していたのを、BIM化することでより高度な建物運用や維持管理が行えるようにしようというのです。

清水建設が始めた、竣工BIMによる新ビジネスのイメージ

清水建設が始めた、竣工BIMによる新ビジネスのイメージ

その方法は、施工段階でBIMソフト「Revit」で作成したBIMモデルを、シンプルな設計図書レベルに加工し、竣工BIMモデルを作成します。

LOD(詳細度)は200程度で、建築要素のおおまかな量やサイズ、形状、位置、向きがわかるレベルです。

それをオートデスクのクラウドシステム「BIM360Docs」上で保管し、施主がウェブブラウザーでいつでもアクセスし、内容を閲覧できるようにして提供します。

この竣工BIMモデルに、同社グループのプロパティデータバンク(本社:東京都港区)が提供する不動産管理クラウドサービス「@プロパティ」を連携させることで、お施主さんは建物の維持管理履歴や修繕計画などを竣工BIMのデータ上で確認できます。

竣工BIMモデルの作成体制としては、同社の設備本部内に専門チームを設けるとともに、ベトナムの大手設計事務所と新たに提携し、両者が共同して業務に当たります。年間、200件程度のモデル化に対応する予定です。

さらに、竣工BIMモデルを使ったカスタマイズサービスも行います。

例えば、コンサートなどのイベントを開催するとき、劇場などの竣工BIMモデル上に舞台設備を再現し、シミュレーションを行うことで、観客席での視認性や音響評価を行うことが可能になります。

商業施設では、竣工BIMモデルを加工して現実空間の「デジタルツイン(デジタルの双子)」基盤を構築し、さまざまな検討を行えます。

他社が施工した物件でも、これらのサービスを利用できるように、2次元図面などの竣工図書を元に、竣工BIMモデルへとアップデートするサービスも別途、提供します。

気になるお値段は、建物の用途や規模、LOD(詳細度)によっても異なりますが、中規模の事務所ビルの場合で

200万円程度

から対応できるとのことです。

清水建設の「Shimz One BIM」の開発については、2020年3月24日には、日本建築センター(以下、BCJ)の協力を得てオートデスクのBIMソフト「Revit」のBIMモデルを使った建築確認申請の審査システムを開発したことを発表(2020年3月25日付けの当ブログ記事を参照)しました。

同10月にはこのシステムで三愛会総合病院(埼玉県三郷市)の確認済証を初めて取得(2021年4月19日付けの当ブログ記事を参照)し、2022年4月には着工後にBCJが行う中間検査に、BIMモデルを活用(2022年4月21日付の記事参照)しました。

三愛会総合病院の建築確認申請に使用したBIMモデル

三愛会総合病院の建築確認申請に使用したBIMモデル

そして今回、竣工BIMモデルによる運用・維持管理段階でのサービスを開始したことで、「Shimz One BIM」はひと通り完成したことなります。

このサービスをきっかけに、一般企業でもBIMの効果やメリットに気づき、建物の計画や維持管理にBIMを導入するところが増えていくことを期待したいですね。

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