管理人のイエイリです。
現場業務をテレワーク化し、「移動のムダ」を削減するためには、現場に行かなくても現場の状況がわかるようにしなければいけません。
そのため、建設現場を「デジタルツイン」(デジタルの双子)化してクラウドで共有し、施工管理に利用する取り組みが一部のプロジェクトで行われています。
しかし、現場のBIM/CIMモデルや地形、点群などの静的なデータと、人や工事車両などの動的データを統合するためには、高度な技術が必要なのが普及のネックになっていました。
そこで大林組は、高性能なパソコンや特別なスキルがなくても、カンタンに現場をデジタルツイン化できる「デジタルツインアプリ」を開発しました。
初めての人でもすぐに使えるように、直感的でシンプルな操作を実現するため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ゲームエンジンのUnity
を活用しているのです。そのため、普通のパソコンでも、3Dモデルが快適に作動し、表示できます。
大林組が現在、扱っているプロジェクトでは、画面のスムーズな動きを表す「フレームレート」は平均35fpsを超え、テレビの30fpsを超えているとのことです。
データはすべてクラウド上に保存し、ネットワーク経由でデジタルツインを構築できます。
誰でもカンタンに使えるので、安全管理の業務でも活用できます。
例えば、現場巡視やパトロールで発見した指摘事項や是正指示を、デジタルツイン上の該当箇所に付せん(アノテーション)を張り付け、関連する写真やファイルとともに関係者間で共有できます。
そしてチャットによるコミュニケーションで、指示や是正内容をデジタルツイン上で確認・保存が行えます。
これなら、安全管理のテレワーク化も実現できそうですね。
現場の3Dモデルなどの静的データと、人や工事車両などの動的データを統合する仕組みは、大林組が東京大学大学院工学研究科(研究科長:加藤泰浩氏)と共同開発した
データ・システム連携基盤
の考え方に基づき、TIS(本社:東京都新宿区)とデータ統合の仕組みを構築しました。(大林組のプレスリリースはこちら)
大林組はこのアプリを現場に適用するとともに改良を進め、将来的には他のゼネコンや専門工事会社にも使ってもらうことで、建設業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、生産性向上や働き方改革を実現することを目指しています。
現場のデジタルツイン化は、いよいよ普及期に入っていきそうです。そうなると建設業界全体のテレワークが進み、移動のムダ削減や生産性向上、そして働き方改革の実現というシナリオが動き始めそうです。