iPhoneのLiDARを“巻き尺”のように活用! 萩原建設工業とネクステラスが「ConstLiDAR」を共同開発
2023年4月25日

管理人のイエイリです。

iPhoneやiPadの上位機種に搭載されている3Dスキャナー機能の「LiDAR(ライダー)」は、現場を手軽に点群計測できるとして、様々な建築・土木の現場に導入されています。

計測した点群データをBIM/CIMソフトや点群ブラウザーなどで開くと、いろいろな部分の寸法や面積などを測れるのは出来形管理などの面では便利ですが、メジャーテープやスケールのように施工の作業には使いづらいです。

この不便を解消しようと、萩原建設工業(本社:北海道帯広市)とネクステラス(本社:札幌市西区)は、スマートフォン用アプリ「ConstLiDAR」を共同開発しました。

このアプリの目的は

ナ、ナ、ナ、ナント、

現場の様々な計測

を行うことなのです。(萩原建設工業のプレスリリースはこちら

「ConstLiDAR」で計測のデモを行う萩原建設工業の岩間輝氏。“iPhone点群計測の第一人者”として、SNSですっかり有名人になりました(特記以外の写真、資料:萩原建設工業、ネクステラス)

「ConstLiDAR」で計測のデモを行う萩原建設工業の岩間輝氏。“iPhone点群計測の第一人者”として、SNSですっかり有名人になりました(特記以外の写真、資料:萩原建設工業、ネクステラス)

「ConstLiDAR」で室内の垂直距離(左)や水平距離(中央)、壁上の面積計算(右)を行った例

「ConstLiDAR」で室内の垂直距離(左)や水平距離(中央)、壁上の面積計算(右)を行った例

ConstLiDAR は「建設現場の計測をもっと手軽に!」をコンセプトに開発されました。

iPhoneやiPadのLiDARを使い、水平や直線距離のほか、これまではレベルなどの機器が必要だった高低差計測や、多角形面積や体積の算出を、1人で簡単に行えるのです。

また画面上でどの部分を計測しているのかがわかる線を、AR(拡張現実)技術で画面上に表示するので、他の人もどこを測っているのかがわかります。レーザー距離計にはない便利さですね。

リアルタイムな現場計測を目的としているため、点群データの取得は最小限にとどめ、計測後はあえて捨ててしまうことことで、軽快な動作を実現しています。

App Storeに設けられた「ConstLiDAR」のページ(資料:Apple)

App Storeに設けられた「ConstLiDAR」のページ(資料:Apple)

アプリの機能は現場での距離や勾配の計測を行う「計測モード」と、計測した距離をもとに面積や体積を算出する「応用モード」に分かれています。

現場での距離計測などを行う「計測モード」でできること

現場での距離計測などを行う「計測モード」でできること

面積や体積などを計測できる「応用モード」の機能

面積や体積などを計測できる「応用モード」の機能

類似のアプリはありますが、ConstLiDARの強みは、

現場技術者のニーズ

によって、機能設計が行われていることです。

例えば、土量計算は単純な四角形の山と仮定するのではなく、山の外形を細かい線分をつないで計測できるようにすることで精度を上げています。

離れた面同士の垂直距離を計測する機能も、現場での掘削作業などのニーズに基づいて実装されました。

離れた面同士の垂直距離を計測できる「丁張り計算機能」

離れた面同士の垂直距離を計測できる「丁張り計算機能」

土木現場で計測した例。iPhoneをポケットに入れておけば、巻き尺代わりに計測できる

土木現場で計測した例。iPhoneをポケットに入れておけば、巻き尺代わりに計測できる

開発にかかわったメンバー。上段は萩原建設工業 土木部技術管理の高山正宏課長(左)と同・岩間輝氏(右)。下段はネクステラスの真柄毅取締役COO(左)と木下大也代表取締役CEO(右)

開発にかかわったメンバー。上段は萩原建設工業 土木部技術管理の高山正宏課長(左)と同・岩間輝氏(右)。下段はネクステラスの真柄毅取締役COO(左)と木下大也代表取締役CEO(右)

ConstLiDARの気になるお値段ですが、5000円(税込み)とリーズナブルです。2023年6月30日までは、特別割引価格4000円(同)で販売しています。

もちろん、iPhoneのLiDARを使った計測なので、誤差は2~3%程度はありますが、目分量や歩測より正確でスピーディーな計測がいつでもできるという安心感には代えがたいですね。

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