野原産業グループ4社が“BIMのため”に合併! 「BuildApp」で建設業界のアップデート目指す
2023年4月24日

管理人のイエイリです。

野原ホールディングス(本社:東京都新宿区)は最近、建設業界に関する興味深いアンケート調査を行い、続々と発表しています。

2023年2月28日に発表した「大学生の業界イメージ調査」の結果では、大学生1000人のうち、建設業界を志望する人は15.6%に過ぎず、いまだに「きつい・危険・汚い」という3Kのマイナスイメージが残っていることや、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)がほとんど知られていないことなどを明らかにしました。

大学生の建設業界への志望意向。回答数1000人(以下の資料:野原ホールディングス)

大学生の建設業界への志望意向。回答数1000人(以下の資料:野原ホールディングス)

また、同4月6日に発表した「建設業界従事者の建設DX意識調査」の結果では、全国の建設業界従事者1000人の回答から、建設業界で最も深刻な課題は「人材不足」と「高齢化による技術継承」であることを浮き彫りにしました。

そして、デジタル化による生産性向上や業務効率化が進んでいないのは「施工・専門工事」や「施工管理」のプロセスであることを明らかにしました。

デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思うプロセス。回答者1000人

デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思うプロセス。回答者1000人

デジタル化による生産性向上、業務効率化が進まない理由

デジタル化による生産性向上、業務効率化が進まない理由

こうした調査結果を踏まえて、2023年4月20日、野原ホールディングスは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMで建設業界を革新

するため、グループの4社が合併し、7月から「野原グループ株式会社」として新たに発足することを発表したのです。(野原ホールディングスのプレスリリースはこちら

野原ホールディングス、野原産業、野原住環境、野原産業エンジニアリングが合併し、野原グループ株式会社として発足する

野原ホールディングス、野原産業、野原住環境、野原産業エンジニアリングが合併し、野原グループ株式会社として発足する

具体的には野原産業を存続会社として、野原ホールディングス、野原産業、野原住環境、野原産業エンジニアリングを吸収合併し、社名を野原グループに変更することになります。

そして、新会社は主力サービスのBIM設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp」などの建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)事業を強化し、企業成長スピードを加速するとともに、建設業界のプロセスやサプライチェーンを変革することで、

建設業界のアップデート

を実現することを目指しているのです。

BIM設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp」のサービス内容

BIM設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp」のサービス内容

BuildAppで建設業界をBIMデータでつなぎ、手間や手戻りを撲滅することで建設業界をアップデートする

BuildAppで建設業界をBIMデータでつなぎ、手間や手戻りを撲滅することで建設業界をアップデートする

BuildAppはすでに様々な成果を生み出しています。

例えば、野原グループと東亜建設工業が共同で実施した国交省のモデル事業(2022年8月24日の記事参照)では、:建設会社と鋼製ドア工場をBIMでつなぎ、見積期間を43%削減、専門工事会社の作図とゼネコンの承認期間を45%削減、そして工場での建具製作期間を50%削減しました。(野原ホールディングスのプレスリリースはこちら

建設会社と鋼製ドア工場をBIMデータでつなぐサプライチェーンの実証フローのイメージ

建設会社と鋼製ドア工場をBIMデータでつなぐサプライチェーンの実証フローのイメージ

また、東急建設と野原ホールディングスは、建設会社と工場をBIMデータでつなぎ、内装材をプレカット加工することで、現場での石こうボード張り付け作業時間などを、従来の現場加工に比べて30~50%も削減しました。(2022年8月24日の記事参照

内装材のBIMモデル

内装材のBIMモデル

BIMモデルのデータを使い、工場でプレカットされた石こうボード

BIMモデルのデータを使い、工場でプレカットされた石こうボード

野原ホールディングスのウェブサイトによると、同社は1598年(慶長3年)創業とのこと。老舗企業が生き残る秘訣(ひけつ)は、伝統を受け継ぎながらも、時代に応じて柔軟に事業を変化させていくことだと言われます。

野原グループと言えば、これまで内装材などの販売や施工を手掛ける会社というイメージが強かったかもしれません。今回のBIMによる建設業界アップデートを目指した経営革新は、まさに老舗ならではの戦略なのかもしれませんね。

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