管理人のイエイリです。
山岳トンネルの工事で、トンネル内面から地山に向けて放射状に打ち込む「ロックボルト」の配置間隔は、国土交通省や自治体などの出来形管理基準や規格に従って、管理する必要があります。
トンネル断面の全周にわたって打ち込まれたロックボルトの間隔を測るのは、高所作業車を使って2人がかりで行っていました。準備や計測、記録に手間ひまがかかり、危険も伴う大変な作業でした。
日立ソリューションズは、この計測作業をカンタンに、ラクに行えるようにしようと、「GeoMation ロックボルト配置間隔計測システム」を三井住友建設と共同開発し、2023年4月13日に提供を開始しました。
高所作業車やメジャーの代わりに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
デプスカメラ付きタブレット
を使い、地上からロックボルトを撮影するだけで計測できるのです。(日立ソリューションズのプレスリリースはこちら)
デプスカメラとは、2つの赤外線カメラで物体をステレオ視することで、物体までの距離や形状を認識できるカメラです。
このシステムでは特別な機器は使わず、デプスカメラにインテル製「RealSense」を使い、Android OS搭載のタブレットに外付けしたものを使いました。
RealSenseは通販サイトを見ると、5万~7万円程度で売られているので、機器自体はかなり低コストです。
このタブレットでロックボルトが打ち込まれた壁面を撮影し、タブレット上でロックボルトの2点を指定すると、ロックボルトの配置間隔が計測されます。
計測した値は、CSV形式で書き出し、パソコンに取り込むことで出来形調書を作成できます。
このシステムによって、煩雑な事前準備や高所作業車の手配、写真整理、出来形調書作成などの作業が軽減されるため、計測から調書作成までの延べ作業時間は、
2分の1に短縮
されます。つまり、生産性は2倍になるというわけですね。
両社は、2019年にもデプスカメラ付きタブレットを使って「鉄筋出来形自動計測システム」を開発(2019年12月24日の当ブログ記事を参照)しており、現在は日立ソリューションズから「GeoMation 鉄筋出来形自動検測システム」として提供されています。
今回のロックボルト計測システムは、その第2弾になるというわけです。現場の構造物にメジャーやスケールを当てて測る作業は、だんだん、タブレットやスマホに置き換わっていきそうですね。