メジャーからタブレットへ第2弾! 日立と三井住友建設がロックボルト計測システムを開発
2023年4月14日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルの工事で、トンネル内面から地山に向けて放射状に打ち込む「ロックボルト」の配置間隔は、国土交通省や自治体などの出来形管理基準や規格に従って、管理する必要があります。

トンネル断面の全周にわたって打ち込まれたロックボルトの間隔を測るのは、高所作業車を使って2人がかりで行っていました。準備や計測、記録に手間ひまがかかり、危険も伴う大変な作業でした。

山岳トンネル工事の現場でロックボルトの間隔を計測する作業(写真:日立ソリューションズ)

山岳トンネル工事の現場でロックボルトの間隔を計測する作業(写真:日立ソリューションズ)

日立ソリューションズは、この計測作業をカンタンに、ラクに行えるようにしようと、「GeoMation ロックボルト配置間隔計測システム」を三井住友建設と共同開発し、2023年4月13日に提供を開始しました。

高所作業車やメジャーの代わりに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

デプスカメラ付きタブレット

を使い、地上からロックボルトを撮影するだけで計測できるのです。(日立ソリューションズのプレスリリースはこちら

「GeoMation ロックボルト配置間隔計測システム」を使ったロックボルト間隔の計測作業風景。高所作業車を使わず、1人だけで計測できる

「GeoMation ロックボルト配置間隔計測システム」を使ったロックボルト間隔の計測作業風景。高所作業車を使わず、1人だけで計測できる

デプスカメラを装着したAndroid版タブレット(上)とデプスカメラの仕様(下)

デプスカメラを装着したAndroid版タブレット(上)とデプスカメラの仕様(下)

デプスカメラとは、2つの赤外線カメラで物体をステレオ視することで、物体までの距離や形状を認識できるカメラです。

このシステムでは特別な機器は使わず、デプスカメラにインテル製「RealSense」を使い、Android OS搭載のタブレットに外付けしたものを使いました。

RealSenseは通販サイトを見ると、5万~7万円程度で売られているので、機器自体はかなり低コストです。

このタブレットでロックボルトが打ち込まれた壁面を撮影し、タブレット上でロックボルトの2点を指定すると、ロックボルトの配置間隔が計測されます。

計測した値は、CSV形式で書き出し、パソコンに取り込むことで出来形調書を作成できます。

タブレットの画面上でロックボルトの間隔を計測しているところ

タブレットの画面上でロックボルトの間隔を計測しているところ

上の画面を拡大したところ。ロックボルト間隔がミリ単位で表示されている

上の画面を拡大したところ。ロックボルト間隔がミリ単位で表示されている

現場での撮影、計測から出来形調書作成までのワークフロー

現場での撮影、計測から出来形調書作成までのワークフロー

このシステムによって、煩雑な事前準備や高所作業車の手配、写真整理、出来形調書作成などの作業が軽減されるため、計測から調書作成までの延べ作業時間は、

2分の1に短縮

されます。つまり、生産性は2倍になるというわけですね。

従来の計測作業に比べて、延べ作業時間は2分の1になった

従来の計測作業に比べて、延べ作業時間は2分の1になった

両社は、2019年にもデプスカメラ付きタブレットを使って「鉄筋出来形自動計測システム」を開発(2019年12月24日の当ブログ記事を参照)しており、現在は日立ソリューションズから「GeoMation 鉄筋出来形自動検測システム」として提供されています。

デプスカメラ付きタブレットを使って「鉄筋出来形自動計測システム」の活用風景

デプスカメラ付きタブレットを使って「鉄筋出来形自動計測システム」の活用風景

今回のロックボルト計測システムは、その第2弾になるというわけです。現場の構造物にメジャーやスケールを当てて測る作業は、だんだん、タブレットやスマホに置き換わっていきそうですね。

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