工事写真を撮れば“残コン”ゼロに?! 国交省が基準改定でSVGを明記、「工事写真DX」の実現へ
2023年4月13日

管理人のイエイリです。

老舗の工事写真管理ソフト「蔵衛門」シリーズの発売元であるルクレ(本社:東京都港区)はこのほど、ちょっと変わったプレスリリースを発表しました。

そこには

ナ、ナ、ナ、ナント、

工事写真で残コンゼロ

を実現するという、イメージ写真が掲載されていたのです。(ルクレのプレスリリースはこちら

工事写真で残コンゼロの実現を目指すイメージ写真(画像:ルクレ)

工事写真で残コンゼロの実現を目指すイメージ写真(画像:ルクレ)

「残コン」とは、工事現場で行われるコンクリート打設の際に、使い切らないで残った生コンのことです。

生コンはどんどん固まっていくので、所定の時間内に打ち重ねないと一体化せず、「コールドジョイント」などの不連続部ができてしまいます。

そのため、生コンがちょっとでも足りなくなると困るので、どの現場もちょっとだけ多めに生コンを発注しているので、どうしても余ってしまうのです。

で、工事写真が残コンゼロとの関係ですが、2023年3月に改定された国土交通省の「デジタル工事写真管理情報基準」に、写真ファイル形式として「SVG形式」が明確に表記されたのがきっかけです。

SVG形式は「工事写真3.0」とも呼ばれ、変更できない現場写真に、電子小黒板やイラストなどの情報をCADのレイヤーのように重ねて一体化することができます。(詳しくは、2022年11月24日の当ブログ記事参照

従来のデジタル工事写真管理基準(上段)は「等」に含まれていたのが、2023年3月の改定で「SVG形式」が明確に表記された(資料:国土交通省)

従来のデジタル工事写真管理基準(上段)は「等」に含まれていたのが、2023年3月の改定で「SVG形式」が明確に表記された(資料:国土交通省)

SVG形式のイメージ。変更不可能な現場写真の上に、電子小黒板や図面などの情報をレイヤーのように重ねて一体化できる(資料:施工管理ソフトウェア産業協会)

SVG形式のイメージ。変更不可能な現場写真の上に、電子小黒板や図面などの情報をレイヤーのように重ねて一体化できる(資料:施工管理ソフトウェア産業協会)

単なる記録から、情報活用へと進む「工事写真3.0」のイメージ。SVG形式はそのファイル形式となる(資料:施工管理ソフトウェア産業協会)

単なる記録から、情報活用へと進む「工事写真3.0」のイメージ。SVG形式はそのファイル形式となる(資料:施工管理ソフトウェア産業協会)

ルクレはこのほど、“残コン撲滅”を目指す生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)に加盟し、生コンの現場受け入れ検査の際に作成する「フレッシュコンクリート試験報告書」のフォーマットをデジタル化します。

そして、電子小黒板のデータとして工事専用クラウド「蔵衛門クラウド」に保存・共有するサービスの実現を目指します。

この仕組みを利用して、残コンや戻りコンの情報を

クラウドで各現場が共有

クラウドで各現場が共有し、生コンが必要な現場に「分配」することで、廃棄されるコンクリートを減らそうというのです。

蔵衛門クラウドを使った、工事写真による残コン削減のワークフロー(資料:ルクレ)

蔵衛門クラウドを使った、工事写真による残コン削減のワークフロー(資料:ルクレ)

生コンが使える時間は数時間と短いので、クラウドによる情報共有がないと実現できない取り組みですね。

当初は「蔵衛門クラウド」を利用する工事や企業内での運用を想定していますが、将来的には残コン情報の共有範囲を拡大していくことを目指すとのことです。

これまでも、国交省の基準では「SVG形式」を利用できたのですが、「等」という文字に含まれていたので、SVGはほとんど利用されることがありませんでした。今回、SVGが明記されたことで、実工事での活用はぐっと増えそうです。

日本建設業連合会もSVG活用を後押ししており、本日(2023年4月13日)に日建連のウェブサイト工事写真のレイヤ化に関する解説資料を公表しました。

「SVG」という文字の明記は、基準としては小さな一歩ですが、建設業にとっては「工事写真DX」を実現する偉大な飛躍なのかもしれませんね。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »