横浜市が下水道DX戦略を策定! BIM/CIM導入やAIによるマンホールふた更新も盛り込む
2023年5月18日

管理人のイエイリです。

横浜市では明治4年(1871年)に、全国に先駆けて英国人技師、ブラントンによって近代下水道が完成し、下水道発祥の町として知られています。

横浜下水道150周年を記念して、2022年度は自他ともに“マンホール女優”と認めるタレントの釈由美子さんを広報大使として任命し、PRポスターやトークイベントへの出演や、SNSによる情報発信などで下水道の役割や大切さなどをPRしました。(横浜市のプレスリリースはこちら

“マンホール女優”こと釈由美子さんを起用したPRポスター(左)やトークイベント(右)(以下の資料:横浜市)

“マンホール女優”こと釈由美子さんを起用したPRポスター(左)やトークイベント(右)(以下の資料:横浜市)

また、下水道事業へのデジタル技術の導入も積極的に進めており、従来は紙ベースで管理していた公共下水道台帳を電子化し、「だいちゃんマップ」としてインターネットで公開したり、ノズルカメラによる下水道管きょ清掃や調査などを行ったりしています。

下水道台帳を電子化した「だいちゃんマップ」(左)。下水道管きょの清掃・調査に導入されたノズルカメラ(右)

下水道台帳を電子化した「だいちゃんマップ」(左)。下水道管きょの清掃・調査に導入されたノズルカメラ(右)

そして、横浜市の下水道事業は、人手不足や施設の老朽化、気候変動による降雨の激甚化などに対応するため、さらなる進化を目指すことになりました。

横浜市環境創造局では、

ナ、ナ、ナ、ナント、

横浜下水道DX戦略

をこのほど策定し、発表したのです。(横浜市のプレスリリースはこちら

横浜下水道DX戦略の表紙

横浜下水道DX戦略の表紙

2025年度年までを「1st ステップ」と位置づけ、庁内にDX(デジタル・トランスフォーメーション)を「浸透」させ、業務の「改善」を展開します。

その後のステップでDXを関係者全体へ「拡充」し、DXを普遍的に「確立」し、2030年度からはDXによる下水道事業の「変革」を実現する計画です。

初動となる、2022年度~2025年度までの1stステップでは、7つのアクションプランを計画しています。

そのうち、「ACT1」として行うのは、排水設備計画確認申請手続きのオンライン化です。家の新築などで排水設備を設置する際に提出する「排水設備計画確認申請書」の手続きは、完了までに3回、土木事務所に出向く必要がありました。これをオンライン化することで大幅な時短を目指すものです。

「ACT1」排水設備計画確認申請手続きのオンライン化のイメージ

「ACT1」排水設備計画確認申請手続きのオンライン化のイメージ

「ACT2」では、デジタル技術を活用したマンホールふた更新の最適化を挙げています。マンホールふたの異常発見や交換時期は現在、職員の経験値で実施していますが、これをAI(人工知能)の画像認識技術で行おうというものです。

「ACT2」デジタル技術を活用したマンホールふた更新の最適化のイメージ

「ACT2」デジタル技術を活用したマンホールふた更新の最適化のイメージ

「ACT3」は下水道施設へのBIM/CIMの導入です。施設の老朽化が進む中、これまでは2次元図面や関連情報によって管理してきましたが、情報整合が大変になってきました。これらの情報をBIM/CIMモデルにリンクして一元管理しようというものです。

「ACT3」下水道施設へのBIM/CIMの導入イメージ

「ACT3」下水道施設へのBIM/CIMの導入イメージ

「ACT4」では、雨水管理情報の一元化を挙げています。大雨などによる浸水対策として、雨量や水位などの情報収集をICTで自動化し、一元管理しようというものです。

「ACT4」 雨水管理情報の一元化イメージ

「ACT4」 雨水管理情報の一元化イメージ

「ACT5」は、

ドローン活用

による災害状況把握です。

現在は災害発生時に、施設の故障や損傷を把握するため、現場で目視確認を行っていますが、これをドローンによる遠隔点検で行おうというものです。

「ACT5」 ドローン活用による災害状況把握のイメージ

「ACT5」 ドローン活用による災害状況把握のイメージ

「ACT6」にはICT・AI制御による高度処理技術の導入が挙げられました。現在の下水処理場の運転管理は自動化されているものの、水質や水量の変動による対応は、運転管理者の経験則で対応しています。ここにICT・AI化による制御を導入します。

「ACT6」にはICT・AI制御による高度処理技術の導入イメージ

「ACT6」にはICT・AI制御による高度処理技術の導入イメージ

最後の「ACT7」は、SDGs時代を反映して温室効果ガス排出量の可視化となっています。施設の運転時にリアルタイムにCO2排出量を見える化することで、省エネ運転を促進しようというものです。

「ACT7」 温室効果ガス排出量の可視化

「ACT7」 温室効果ガス排出量の可視化

伝統的なインフラである下水道事業を、発注者サイドからDX化しようという横浜市の取り組みは、全国の自治体にも影響を与えそうですね。

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