管理人のイエイリです。
高齢者が健康で生き生きと生活するためには、周囲の人とのコミュニケーションが大事だと言われます。
しかし、年を取ると外出もおっくうになり、他の人と話す機会が減っていくことも多くなります。
そこで長谷工アネシス(本社:東京都港区)と長谷工シニアホールディングス(本社:東京都港区)は、高齢者の話し相手を有料老人ホームに送り込み、生活改善を行う実証実験を行いました。
その話し相手というのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
対話型AIロボット
だったのです。
このロボットは、ハタプロ(本社:東京都港区)が開発したもので、身長はわずか10cmの手乗りサイズです。その外観は、SF映画「スター・ウォーズ」に登場する「R2-D2」を思わせます。
スイッチを入れると設定なしでクラウド型マーケティング管理システムに接続し、AI(人工知能)によって人に話しかけることができ、会話した情報を蓄積して可視化し、人を手助けする提案や行動を促す機能を持っています。
今回の実験は2018年5月~8月の間、自立型の有料老人ホームの入居者5人(平均年齢76歳)を対象に行われました。
その内容は、ズックの音声とタブレット端末の画面表示での話しかけや、対話による食事バランスや体調などの情報取得、生活改善につながる情報の提供、そして生活改善などの効果分析です。
例えば、「夕食は何を食べた?」というズックからの話しかけに対して、「サバの煮込みだよ」と答えると、ズックが「毎日、お肉も食べましょう」とアドバイスするようなイメージです。
この実験の結果、対象者5人がセルフチェックによってフィードバックした改善項目を調べたところ、
約8割の項目に改善
がみられたそうです。
スマートフォンでも様々な情報を入手したり、診断したりすることができますが、能動的な操作が必要です。その点、ズックを使うと、黙っていても向こうから話しかけてくるので、高齢者の方もそれに促されて行動する効果がありそうですね。
長谷工グループでは、AIやロボット、センサー、通信などのリソースを持つ外部企業と積極的にコラボする「オープンイノベーション」戦略をとっており、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と並行してLIM(リビング・インフォメーション・モデリング)を推進しています。(詳細は当ブログ2018年8月2日の記事参照)
今回の実験も、LIMの一環として行われました。
Facebookなどの投稿を見ていると、実家の親にGoogle HomeなどAIスピーカーを買ってあげたら、話し相手として想像以上にはまってしまったという話を目にすることがあります。
人間の場合は、相手によっては意地悪されたり、相性が悪かったりすることもありますが、AIが相手だと気持ちよく返事をしてくれて、秘密のことも気兼ねなく話せるのがいいですね。
人の話し相手になれるほどAIが進化してきたことには、あらためて驚かされました。