管理人のイエイリです。
太陽光発電を効果的に行うために、ソーラーパネルをどの方角、角度に設置するかは設計者の腕の見せ所です。それでも、ソーラーパネルが太陽に向かって垂直になるのはほんの一瞬で、大抵は斜めから太陽光が当たることになります。
その結果、ソーラーパネルの能力を最大限に発揮させるのは難しい面がありました。
こうした問題を解決してくれる画期的なマシンがあります。
ナ、ナ、ナ、ナント、ソーラーパネルを
太陽に向けて回るロボ
なのです。
米国のQBotix社が開発した「QTS(QBotix Tracking System)」というシステムで、「トラック」というレール上を走行する「ソルボット(Solbot)」というロボットがソーラーパネルを支える「トラッカー(Tracker)」を定期的に巡回し、太陽の位置に応じてトラッカーの方位と仰角を調整する、というものです。
ソーラーパネルの沿って設置されたレール上を移動しながら、ソーラーパネルの向きを最適に調整するロボ(写真:QBotix社のウェブサイトより。以下同じ) |
従来も太陽を追尾する可動式のソーラーパネルシステムはありましたが、パネルごとにモーターや制御装置が必要でコストが高いだけでなく、故障しやすいという欠点もありました。
その点、QTSは各トラックにはモーターがついていないため、非常に安上がりになります。ソルボットは2台1組で使用し、片方が予備となります。もし、1台が故障しても、他方がバックアップするので、システムが故障によって止まることはありません。
ソルボットはIP-65の耐水、防じん性能を持っており、過酷な条件の下でも動くように設計・製作されています。各ソーラーパネルをひと回りした後は、トラックの末端に設けた充電装置で充電するようになっています。
またトラックは簡単に敷設できるようになっており、ケーブルトレーが内蔵されています。そのため電線溝を掘る必要性が最小限になるというメリットもあります。
1つのシステムで300kWまでのソーラーパネルをカバーでき、ソーラーパネルの発電量は固定式のものに比べて40%も増えるそうです。
1つのシステムで300kWまでのソーラーパネルをカバーできる |
ソーラーパネルをひと回りしてきた後は、トラックの末端にある充電装置に入って充電する |
このほど、このQTSが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本に上陸
することになったのです。
自動車用や住宅用の蓄電池の製造・販売などを手がけるJNCグループの千葉ファインケミカルが、QTSの技術を導入した太陽光追尾型の発電設備を人で初めて建設し、今年の4月から実証実験を始めるとのことです。
ロボット1台によって何十台もの架台のモーターや制御装置をなくすというアイデアには驚きました。ぜひ、実証実験が成功し、各地のメガソーラーなどに導入されて太陽光発電量が増えることを祈りたいですね。