管理人のイエイリです。
最近のスマートハウスは、「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の機器が付いているだけでなく、建物自体を断熱性や通風性に優れた設計にすることで、トータルな性能を高める工夫がなされています。
その結果、年間に太陽光パネルで発電する電力が、電力会社から購入する電力より上回る「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」も珍しくなりつつあります。
そこでミサワホーム、ミサワホーム総合研究所、京セラは奈良県北葛城郡王寺町の「ヒルズガーデン王寺」内に建設したモデル住宅で、さらに一歩進んだ「エネルギー自家消費型住宅」の実証実験を2015年10月からスタートすることになりました。
電気やガスの供給が止まったときに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
自家発電のエネルギーだけ
で、安心した生活がどの程度、継続できるのかを分析しようという実験なのです。
モデル住宅はミサワホームが昨年度から標準化している高性能断熱材仕様と、樹脂サッシを採用することで建物の断熱性を高めています。
また、室内の風通しを「南北通風設計」により高め、地窓や高窓の開閉やエアコン、シーリングファンのオンオフを自動制御して、排熱と涼風の取り込みを行う「涼風制御システム」を採用しました。
住宅の空調負荷を高める西日対策としては、日よけスクリーンも導入するなど、徹底した省エネ化を図っています。
このほか、給湯器には電気とガスでお湯を沸かせるハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」(リンナイ製)を採用しました。
創エネ装置としては、発電容量6.6kWの京セラ製太陽光発電システムを採用し、停電時には自動的に自立出力モードに切り替わり、発電した電力のうち最大3kWを蓄電しながら、最大3kWを使えるという余裕があります。
そして注目すべきは蓄エネ装置です。これまでは太陽光発電の電気は直流(DC)から交流(AC)に変換し、さらにACからDCに変換して蓄電池に充電するというAC・DC変換のロスがありました。
ところが、この住宅では「マルチDCリンクタイプ」の蓄電システムを採用しており、太陽光パネルで発電した
直流電力をそのまま充電
することができるのです。
そのため、充電効率が従来品の89.8%から96.0%と、約6%も向上しました。
今回の実験は、ミサワホームの防災・減災ソリューション「MISAWA-LCP」の一貫として行います。複数の世帯にこの住宅に住んでもらい、非常時を想定した家電使用スケジュールでの生活や停電後の部屋ごとの温度や湿度、電力使用量などを調査します。
太陽光発電の発電コストはこれまで高いと言われていましたが、既存の系統電力の電力価格と同等になる「グリッドパリティ」の達成も間近だそうです。
これまでは電力会社への「売電」が太陽光発電導入の大きな動機になっていましたが、今後は平常時でも「エネルギー完全自給自足」を目指す新しいトレンドが生まれてくるかもしれませんね。