ビル間で熱融通も!エネルギーをクラウド化する竹中脱炭素タウンモデル
2016年7月21日

管理人のイエイリです。

2004年に竣工した竹中工務店の東京本店ビルは、乾いたタオルを絞るように完成当初から省エネに取り組んでいます。

以前の社屋ビルに比べて2005年はエネルギー総量で34%削減、2009年には約47%の削減を達成しました。東日本大震災後も、省エネのレベルを上げています。(2011年6月15日の当ブログ記事参照

東京本店ビルが省エネにかける意気込みは、さらに周囲の街区まで巻き込み、「竹中脱炭素モデルタウン」として拡大的発展を続けています。

東京本店ビルがある新砂エリアに建つ東洋町インテスビル、TAK新砂ビルを連携させて

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

1棟の建物のように

 

統合制御し、省エネ、蓄エネ、創エネを最適化するプロジェクトが始まったのです。

つまり、街区全体をエネルギーのネットワークでつなぎ、バーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)にしてしまおうという考え方です。

複数の建物のエネルギーを一括制御する「竹中脱炭素モデルタウン」のイメージ図(資料:竹中工務店)

複数の建物のエネルギーを一括制御する「竹中脱炭素モデルタウン」のイメージ図(資料:竹中工務店)

制御には、同社の「I.SEM」というエネルギー管理システムを使用します。

このほか、各建物には発電機、蓄電池、太陽光発電機など様々なエネルギー機器を設置して建物の消費エネルギーを最小化します。また、最新緑化システムや雨水活用など、環境にやさしい技術も盛り込みます。

上のイメージ図を見ると、下水熱や河川熱、小規模水力発電など、太陽光発電以外のエネルギー源までを徹底的に活用する方向性がうかがえます。

蓄エネというと、リチウムイオン電池など電気エネルギーを蓄えることを想像しがちですが、竹中脱炭素モデルタウンでは、複数のビル間で熱を融通し合う仕組みも設けています。

つまり、電力などに変換できない熱もエネルギー源とみなし、

 

熱は熱として使う

 

という柔軟なアイデアが盛り込まれているのです。

これらのシステムを導入し、新・再生可能エネルギーを最大限に活用すると、複数用途のビルが集まる10万m2の街区で、40~60%ものCO2排出量削減効果が見込めるとのことです。

竹中脱炭素モデルタウンは、7月からVPP構築を開始し、今秋から実証を始めます。実証には東京電力エナジーパートナーやNTTコミュニケーションズも加わります。

将来、こうした熱のネットワークが広がり、エネルギー源が多様化すると、エネルギーもクラウドで調達する時代になるかもしれませんね。

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