ICT浚渫工に対応!OKIシーテックが無人ボート型測深機を発売
2018年1月31日

管理人のイエイリです。

国土交通省が推進する「i-Construction」施策では、2017年度から3次元データを活用して水底を掘り下げる「ICT浚渫(しゅんせつ)工」が導入されました。

これに伴い、港湾や湖沼、河川などの水深を、音波を使って測量する「マルチビーム測深機」が測量会社や海洋土木工事会社などから注目されています。

そこで沖電気工業(OKI)グループのOKIシーテックビィーシステムコデンの3社は、小型・軽量な可搬ボート型マルチビーム測深機「CARPHIN V」を開発し、2018年1月30日にOKIを含めた4社から発売しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

有人測量船では不可能

 

な、小規模河川の深浅測量も行えるのです。

「CARPHIN V」のイメージ図。1人で持ち運びできる機動力の高さ(以下の資料、写真:OKI、OKIシーテック)

「CARPHIN V」のイメージ図。1人で持ち運びできる機動力の高さ(以下の資料、写真:OKI、OKIシーテック)

深浅測量中の様子

深浅測量中の様子

深浅測量の結果を3Dで表示したイメージ図

深浅測量の結果を3Dで表示したイメージ図

船体には、深浅測量に必要なGNSS(全地球測位衛星システム)受信器や動揺計、マルチビーム測深機が一体構造で装備されているため、測量前の機器の取り付け作業やキャリブレーション調整が不要です。

重さ約25kgなので大人1人で運搬でき、誰でも簡単に深浅測量が行えるのが特徴です。

マルチビーム測深機とは、船の左右両舷方向に扇状の音波を放射し、前後方向には指向性の鋭い多数の受波ビームの反射音を受信することで、広い範囲の水深を測定する深浅測量方式です。すべての機器は、i-Constructionの基準に対応しています。

測深深さは0.5~80mで、最大船速は4.5ノット(時速約8.3km)、動力源は42Ahのリチウムイオン電池2個で120分の連続航行が可能です。

船体に一体装備された機器類

船体に一体装備された機器類

リモコンボート船体には自律航行機能を備えているため、GNSSが使用できるエリアなら、あらかじめ設定した測線に沿って自動的に航行します。

また、コントロールを失ったときには、出発地点に自動的に戻ってくる自動回帰機能が付いています。

1人で測定が行えるため、従来に比べて

 

測定工数は半減

 

したそうです(OKIの社内比)。

言い換えれば、無人測量ボートが人間の“同僚”となることによって生産性が2倍に向上したことになります。ロボットを活用した生産性向上は、人間との“二人三脚”で進んでいくのかもしれませんね。

開発にあたってはOKIシーテックがOKIの水中音響センシング技術をベースとしたマルチビーム測深機、ビィーシステムがデータ解析などのソフトウエア、コデンがリモコンボートの技術と、3社が得意な技術を持ち寄りました。

すべて国産なので、問い合わせや修理、保守、整備などを国内で行えるのも便利です。

今後、各社は測量会社などと協力して深浅測量データ取得サービスや工事現場支援、維持管理ソリューションの商品化も検討していきます。まるで“浚渫界のドローン”といったビジネス展開が予想されますね。

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