建物が建設されることで起こる「ビル風」は、建物のオーナーやユーザーだけでなく周囲に住む人々にとっても大きな関心事です。
しかし、風の流れは3次元的に複雑なので、ビル風の検討時に、流体解析の結果を2次元で表した従来の紙資料では、全体像がとらえにくいという課題がありました。
そこで熊谷組は、流体解析の結果を
ナ、ナ、ナ、ナント、
VRゴーグルで立体視
できる風環境可視化技術を開発しました。(熊谷組のプレスリリースはこちら)
このシステムの特徴は、流体解析とVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)アプリケーションの二つで構成されていることです。
流体解析によって得られた風速や風向のデータを、指定のフォーマットでデータ出力します。
その風データと建物周辺の3Dモデルをシステムに読み込み、VR空間で風の流れを可視化する別のAndroid版VRアプリを作成します。
この部分のプラットフォームには、ゲーム開発でよく用いられる「Unity」を使用し、画像を見るVRゴーグルには「GearVR」を採用しました。
GearVRのメリットは、Androidのスマートフォンで動作することです。そのため、グラフィックボードやメモリーなどを強化したVR専用のパソコンを用意する必要がありません。
そして、スマホとVRゴーグルさえあれば、出張先で手軽にプレゼンテーションや打ち合わせで可能です。VRアプリをLANに接続すれば、複数の人で同時にビル風のVRを見たりVR空間内を歩き回ったりすること可能です。
このシステムの有効性を検証するため、熊谷組は東京・新宿区にある
熊谷組本社ビル周辺の風
をVR化しました。
社員の方が、日ごろ感じている風の流れが、VRによる解析結果と合っていれば、より実感的にこのシステムの有効性を、施主や周辺住民の方などに語ることができそうですね。
建物間の通路の幅とビル風の強さの関係など、これまであまり考えられなかったようなデザイン検討も起こりそうです。
熊谷組では今後、VRを現実空間の風景と合体されるAR(拡張現実)やMR(複合現実)への拡張や、オンライン化などの機能を拡張していく予定です。