ドーナツ型ドローンで斜張橋ケーブルを点検!三井住友建設が時短効果を確認
2018年6月12日

管理人のイエイリです。

社会インフラの老朽化が進む中、既存構造物の点検や維持管理がますます重要になっています。

なかでも斜張橋の橋桁を支えるケーブルは、高い場所に架設されているうえ断面が丸いので人が近づきにくく、“近接目視”点検作業が行いにくいという問題がありました。

そこで三井住友建設と山口大学は、ロボットによる斜張橋ケーブル点検の実証実験を、埼玉県越谷市にあるPC3径間連続エクストラドーズド橋の「せいたかしぎ橋」で行いました。

埼玉県越谷市のせいたかしぎ橋で行われたケーブル点検の実証実験(以下の写真、資料:三井住友建設)

埼玉県越谷市のせいたかしぎ橋で行われたケーブル点検の実証実験(以下の写真、資料:三井住友建設)

使われたロボットは、茨城工業高等専門学校と山口大学が共同開発した「斜張橋ケーブル点検ロボット」で、ケーブルをよじ登る手段として、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ドーナツ型ドローン

 

を使っているのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら

茨城工業高等専門学校と山口大学が共同開発した「斜張橋ケーブル点検ロボット」

茨城工業高等専門学校と山口大学が共同開発した「斜張橋ケーブル点検ロボット」

上の写真のようにロボットは撮影ユニットとケーブル断面を囲むような形のドローン(無人機=昇降ユニット)に分かれています

このドローンは撮影ユニットをケーブル上部までスピーディーに押し上げると、すぐに降りてきます。

一方、撮影ユニットは内蔵された4台のビデオカメラでケーブル全周をくまなく撮影しながら、最大分速9mのゆっくりしたスピードで降りてきます。

その間、ドローンは別の撮影ユニットを次々と別のケーブルに押し上げることができるので、ケーブル撮影を同時並行で進めていくことができるのです。

ロボットによるケーブル点検の作業手順

ロボットによるケーブル点検の作業手順

内部に4台のビデオカメラが組み込まれた撮影ユニット

内部に4台のビデオカメラが組み込まれた撮影ユニット

4台のカメラが撮影した画像は、地上で回収すると画像結合システムによって約10分でパノラマ画像化し、ケーブル損傷部分の位置や程度をその場で確認することができます。

画像はケーブル全周から撮影しているので死角がなく、

 

目視点検と同等レベル

 

の観察ができることが確認されました。

今回、実証実験を行ったせいたかしぎ橋のケーブル傾斜角度は約15°とゆるい勾配でしたが撮影ユニットやドローンの自動落下には問題がなく、あらゆる傾斜角度のケーブルで点検が可能なこともわかりました。

国内最大規模のPC斜張橋には、約150m長のケーブルが付いていますが、その場合でも約30分で点検作業が可能とのことです。

現場をいったん、画像というデータで記録し、それをチェックするという作業フローができると、人間の代わりにAI(人工知能)に異常部分の絞り込みを行わせることもできそうですね。

今回のシステムは、斜張橋の維持管理をIoT(モノのインターネット)化することにもつながりそうです。

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