管理人のイエイリです。
砂防ダムなどの砂防施設は、山間部で土石流や土砂の流出などによる被害を防ぐために造られます。勾配が急な谷地形に造られることが多いため、その点検には高所作業や急斜面の場所もあるため、転落などの危険もあります。
砂防施設の点検作業は従来、徒歩による目視が基本でしたが、国土交通省は効率化と安全性向上を図るため、2019年度に砂防施設の点検要領を改正すること発表しました。ドローン(無人機)などの新技術だけを活用した点検を平常時、緊急時を問わず行えるようにするのです。
この動きに早速、対応したのが白山国立公園内の砂防工事などでICT化にとりくんできた竹腰永井建設(本社:石川県白山市)と、ドローンによる点検・調査業務に多くの実績があるアイエイチプランニング(本社:東京都板橋区)です。
両社はドローンによる砂防施設の点検を検証中ですが、人が立ち入れない場所にある岩盤の亀裂発見には通常のカメラに加えて、
ナ、ナ、ナ、ナント、
赤外線カメラでも同時撮影
も行っているのです。(アイエイチプランニングのプレスリリースはこちら)
外観と温度分布の両方から岩盤を観察することにより、見えにくい亀裂も発見できるというわけですね。
砂防施設周辺の危険箇所や水源の位置、亀裂部分が特定できると、崩壊防止のための安全対策や法面補強工法の検討にも役立ちそうです。
また、法面工事を行った後に岩盤がはく離していないかなどの経過観察も、ドローンと赤外線画像を使うと効率的に行えそうです。
しかし、問題もあります。砂防施設が多い山間部では、GNSS(全地球測位システム)に使われる衛星からの電波が捕捉しにくい場所もあるので、機体が不安定になりやすいのです。
そんなときは、
GNSSセンサーをオフ
にして、手動で斜面と一定距離を保って飛行されながら撮影を行うというベテランの技が求められます。
そこで、ドローンの操縦を担当するアイエイチプランニングのパイロットには、橋梁やダムなどGNSSの電波を捕捉しにくい場所での調査や、赤外線カメラによる太陽光発電設備の点検などの経験が豊富にあるベテランを起用しています。
山間部でのドローン活用は、それなりのノウハウや技術が求められますね。準天頂衛星「みちびき」の運用も、2018年11月1日に始まったので、これまでよりもドローン活用はしやすくなりそうですね。
両社は今後、冬場を迎える時期に備えて現場の現状把握を行いながら検証を続けるとともに、他の砂防管理エリアでも対応していく方針です。