管理人のイエイリです。
新型コロナウイルス感染予防の緊急事態宣言により、自粛に始まり自粛に終わった今年のゴールデンウイークでしたが、その真っ最中の4月30日、静岡県から驚くべき記者発表がありました。
伊豆半島を航空レーザー測量やMMS(モービルマッピングシステム)で計測した高精度の点群データを、社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)が運営する「G空間情報センター」のウェブサイトで無料公開したというものです。
そのデータ容量を全部合わせると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
約15テラバイト
にも及ぶというのです。(静岡県のプレスリリースはこちら)
点群データは計測方法により3種類に分かれています。
飛行機から地表を計測した航空レーザー測量(LP)、河川や海岸の水面下まで計測できる航空レーザー測深(ALB)、そしてクルマにレーザースキャナーを搭載し、走行しながら道路周辺を計測するMMSの点群データがあり、それぞれ計測された範囲が異なります。
それぞれの点群は、同じ図郭に分けて提供されており、1つの点群データのファイルの平均容量は約300MB、最も大きなものは5.2GBもあります。
試しに、あの有名な河津七滝ループ橋周辺の点群データをダウンロードしてみました。図郭の番号を調べると「08OF4060」でした。
ここには3種類の点群がすべてそろっていますが、同じファイル名なので点群データをダウンロードや解凍する際には、上書きして消さないようにフォルダを分けておくなどの対策が必要です。
解凍したデータ容量は、MMSが6.23GB、LPが471MB、ALBが282MBでした。やはりループ橋の詳細を記録したMMSの点群が圧倒的に容量が大きいようです。
解凍したデータは、当ブログ2020年1月21日付けの記事で紹介した無料点群プラウザー「3D Point Studio」で開いてみました。
すると堂々たるループ橋の勇姿が表れたではありませんか。さらに拡大すると、細部構造までが手に取るようにわかります。
さらに航空レーザー測量(LP)によって計測された点群データを重ねて見ると、周辺部分の地形まで点群が広がりました。
そして、興味深いのは、水面下の海底や河床まで計測できるALBの点群です。
試しに、伊豆急行河津駅付近の海岸部分の点群(図郭番号:080F6134)をダウンロードして、3D Point Studioで見てみました。
断面図を見る機能で陸地から水中の離岸堤までの断面図を切ってみたところ、
海面と海底の地形
がくっきりと表れたのです。
静岡県では以前から、県内の工事で使用された点群データを無料公開する「Shizuoka Point Cloud DB」を開設・運用してきましたが、スポット的な点群データの集合体という感じでした。
今回、公開された点群データは面的、線的にも連続したものでより利用価値が高いものになっています。
また静岡県では、点群データを建設プロジェクトでの利用にとどまらず、地形の成り立ちを考える地学や、サイクリングや釣り、ハザードマップなど幅広い用途に使ってもらうことを期待しているようです。
今回の点群データ公開に合わせて、そのアイデアとなるYouTube動画「VIRTUAL SHIZUOKA ~3次元点群データでめぐる伊豆半島~」も公開していますので、ぜひ、ご覧ください。