HoloLensで施工管理をテレワーク化!トリンブルがクラウド開始
2020年7月30日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトや3次元CADで作成した建物の3Dモデルを、MR(複合現実)デバイスの「HoloLens」を使って現場で見られると、施工中の現場と設計をビジュアルに比較できるので便利ですね。

しかしこれまでは、BIMモデルデータをHoloLens用に変換するのがひと苦労でした。また、現場で見るためにはあらかじめ変換したデータをHoloLensに仕込んでおくなどの段取りも考えておく必要があったので、いろいろと面倒でした。

そこでニコン・トリンブルは、MRを現場で効率的に活用するためのクラウドサービス「Trimble Connect for HoloLens(以下、TCH)を本日(2020年7月30日)に発売しました。

HoloLensの最新機種、「HoloLens2」をヘルメットと一体化させた同社の「Trimble XR10」向けに開発されたシステムです。

施工現場でMRデバイス「XR10」を活用するイメージ(特記以外の写真、資料:ニコン・トリンブル)

その特徴は、オフィスで作成したBIMモデルなどをクラウドにアップすると、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

MR用データに自動変換

 

してくれるのです。

現場で使っているXR-10に、Wi-FiなどでMR用データをダウンロードすれば、手軽にBIMモデルを現場に重ね合わせて見ることができます。あらかじめ用意周到にMR用データを作り、セットしておくのに比べると、ずっと気楽に作業できそうですね。

このTCHを使ってできることは、(1)設計データと現実空間の比較による干渉チェック、(2)リアルタイムの情報共有、(3)施工手順の3D表示、そして(4)現場内同士、現場とオフィスのコラボレーションなどです。

その結果、XR-10を使って工事の進ちょく管理や出来形管理などの施工管理業務を行えるのです。

例えば、設計データと現実空間の比較による干渉チェックでは、既に出来上がった鉄骨やコンクリート躯体と配管、ダクトなどの設備が干渉しないかを事前に確認できます。万一、干渉が発見されても、据え付け前なら手戻りのダメージも少なくなります。

設計データと実際の現場との比較による干渉チェックの例

BIMモデルに時間軸をプラスして、施工手順を4D化したデータを実際の現場と比較すると、工程が遅れている部分や進んでいる部分が一目でわかります。

施工手順の3Dモデルを4D化したデータを使うと、工程の遅れが一目でわかる

また、現場で干渉や作業遅れなどの問題が発見されたときは、XR-10から写真や説明コメント、解決までの期限などを直接、クラウドにアップしてリアルタイムに共有できます。

現場で見つかった問題点は、XR-10からクラウドに直接送信してリアルタイムな情報共有ができる

XR-10はWindows10で動く“パソコン”でもあるので、クラウドと写真データのやり取りなども可能だ

さらに進化した活用法としてはXR-10のコラボレーション機能があります。

現場でXR-10を装着している現場作業員の操作画面を、クラウドを通じて離れた場所にいるメンバーが見ながら、手順の確認や指示を送ることができるので、

 

現場指示のテレワーク化

 

も可能になるのです。

XR-10を使った現場指示のテレワーク化イメージ(資料:トリンブルの資料をもとに筆者が作成)

このほか、クラウドにはスマートフォンやタブレットなどでもアクセスできるので、XR-10を持たない工事関係者とも連携が図れます。

スマートフォンやタブレットでもクラウドの3Dモデルを見られる

気になるお値段ですが、「TCHクラウドサービス」のクラウドアプリライセンスが1年間19万8000円(税別)などとなっています。

HoloLensやXR-10は、BIMモデルと現場を”肉眼”で見るためのデバイスで、デジタルとアナログが共存する人間の直感にあったものです。そのため、ベテランの技術者や作業員にもなじみやすそうです。

こうした機器とクラウドが合体することで、BIMモデルを施工管理で使う用途が広がり、テレワーク化も進展しそうですね。

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