管理人のイエイリです。
地上型レーザースキャナーやドローンなどで計測した点群データの処理には、200万円程度の専用ソフトや百数十万円もするワークステーションが必要でした。また、ソフトも専門性が高く、使いこなすのが難しいという面もありました。
東京・新宿のスタートアップ企業、スキャン・エックスは、このように取っ付きにくかった点群処理を、安価かつ簡単に行えるようにするオンライン点群処理ソフト「スキャン・エックスクラウド」を密かに開発してきましたが、明日(2020年9月17日)にリリースすることになりました。
使用料金は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
月額2万9800円(税込み)
と、大変、リーズナブルなのです。
しかも1カ月目は10プロジェクト、1プロジェクト当たり50GB(合計500GB)が使え、2カ月目にはさらに10プロジェクト、500GBが上積みされ、容量がどんどん増えていくというシステムです。
もちろん、クラウドサービスなのでハイスペックのパソコンはいらず、普通のノートパソコンでも十分に使えます。まさに点群処理界に“価格破壊”をもたらすサービスと言っても過言ではありませんね。
そして機能も本格的です。まず、注目したいのは、簡単に使える「フィルター機能」です。
生の点群データには、地表面や植栽、ノイズなどの様々なデータが混在していますが、このソフトにはメニュー化されたフィルターが備わっており、地表面や植生(低、中、高)、建物などを選ぶだけで、必要な点群を抜き出して表示してくれます。
これまでの点群処理で苦労していたノイズ処理や地表面の抽出なども自動的にやってくれるうえ、地表面の抽出精度は従来製品の倍近い精度を達成したとのことです。
このほか、基本的な点群処理機能として点群からのメッシュデータ作成や等高線データ、断面図などの作成ができるほか、これまでは難しかった「オーバーハング」も面を張ることができます。
さらに点群データから水流シミュレーションや浸水シミュレーションを行ったり、点群と道路の3Dモデルを比較して、
出来形管理帳票
を作成したりすることもできます。
このほか、林業分野向けには、樹木を1本ずつ区別して直径や樹高などを自動計測し、樹木の体積を自動計算した帳票も自動作成できます。
「スキャン・エックスクラウド」を開発したのは、イスラエルのスタートアップ企業で世界各地の点群データを解析してきた創業者の宮谷聡氏とホン・トラン氏です。
これまで国内外の約10社にβ版を試験導入してもらい、感想や意見をフィードバックしてもらいながら日々、改良してきました。
このなかには、「やんちゃな土木ネットワーク」を主催する正治組(静岡県)の大矢洋平氏、平賀建設(山梨県)の松尾泰晴氏、寒河江測量設計事務所(山形県)の大沼啓一氏、東豊開発コンサルタント(大分県)の梶原高広氏など、i-Construction界の著名プレーヤーの面々が含まれています。
そして、ユーザーの要望などから今後もさらに機能を追加していくとのことです。初月は「30日間無料キャンペーン」を行うそうですので、点群処理界の皆さん、一度試してみてはいかがでしょうか。